十脚目クモガニ科ズワイガニ属
楚蟹、Queen crab
生息域:日本海~北海道沿岸
旬時期:11月~12月
調理法:刺身、焼きガニ、茹でガニ

ズワイガニ

基本情報

カニの中でも最も美味として名高いズワイガニは、日本海の冬の味覚の王者。刺身にして良く、焼きガニ、茹でガニにしても、甘みがあり、たおやかながら濃厚な旨みを持つ。北陸ではエチゼンガニ、山陰ではマツバガニとも呼ばれる。

名前の由来

脚が細長いことから、細い木の枝を意味する「楚(すわえ)」が転訛したとされる。市場では大型の雄だけをズワイガニと呼ぶ。雌雄で呼び名が異なり、雄は北陸ではエチゼンガニ、山陰ではマツバガニとも呼ばれる。コッペガニ、コウバコガニ(香箱ガニ)、セイコガニなどは雌のズワイガニを指す。

特徴

雄は甲幅18cm程度、雌は8cm程度。甲は丸みのある三角形で、甲面にはいぼ状顆粒が多数ある。体色は全身が暗赤色。鉗脚(第一胸脚)と第5胸脚は短いが、第2~第4胸脚が長い。日本海から北海道沿岸、オホーツク海、アラスカまでの北太平洋北部に分布し、水深40~600mの泥底に生息する。雌は6~7年で生食可能な大きさに達すると、交尾し抱卵する。約1年間抱卵した後にゾエア幼生を放出すると、すぐ次の産卵を行う。最初の産卵以後は脱皮しなくなるため、雄の半分の大きさしかない。食性は雑食性だが肉食性が強く、貝類や多毛類などを捕食する。

食材情報

カニの中でも最も美味として名高いズワイガニ。日本海の冬の味覚の王者。しっとりとした身肉は甘みに富む。刺身は薄く透き通ったピンク色で、ねっとりとした味わい。茹でて二杯酢で食べたり、焼きガニやカニ鍋にしても美味。市場では大型の雄だけをズワイガニと呼ぶ。中腸腺(カニミソ)、卵(内子・外子)も濃厚な味わい。

ブランド

・松葉ガニ
島根県、鳥取県、兵庫県、京都府で水揚げされたズワイガニを総称して松葉ガニと呼ぶ。和名マツバガニとは別種。

・越前ガニ
北陸などではズワイガニを「エチゼンガニ」と呼ぶが、特に三国港で水揚げされたズワイガニは最高級品として知られ、皇室にも献上されている。「越前ガニ」は福井県の地域団体商標に登録され、「三国港」と刻まれた黄色いタグをつけて出荷される。

・間人(たいざ)ガニ
都北部の丹後半島・丹後町間人(京丹後市)の間人港で水揚げされたズワイガニ。

・津居山(ついやま)ガニ
兵庫県北部(但馬地方)の津居山(豊岡市)の津居山港で水揚げされたズワイガニ。

・加能ガニ(かのうガニ)
石川県沖で漁獲され、橋立漁港や金沢港など加賀や能登で水揚げされたズワイガニ。青色のタグをつけて出荷される。

市場での評価

活けは国産物のほか、ロシア・アメリカ合衆国・カナダなどからの輸入物が年間を通じて流通している。国産物は高く、輸入物は安い。生や茹でた冷凍物も多い。

漁獲法

TAC制度(漁獲可能量制度)が導入され、海域毎の漁獲量の上限が定められている。日本海での漁は沖合底曳き網漁が主体だが、カゴ漁や刺し網、板びき網漁も行われている。資源保護のため、海域ごとに異なる制限がされている。資源回復を目指して1964年頃より福井県、兵庫県などで放流用種苗の生産技術確立に向けた研究が行われている。

2002年度の国内の主な陸揚げ漁港は以下の通り。

第1位 境漁港(鳥取県)
第2位 香住漁港(兵庫県)
第3位 岩崎漁港(青森県)
第4位 能生漁港(新潟県)
第5位 越前漁港(福井県)

国内での漁獲量は6,000トン前後で、海外からの輸入が60,000トンと国産の10倍に上る。