アカザ科ホウレンソウ属
菠薐草、Spinach
主産地:千葉、埼玉、群馬
旬時期:1月~2月

ホウレンソウ

基本情報

原産はカスピ海南西部とされるが、野生種は発見されていない。ペルシャ(現イラン)で栽培されるようになり、北アフリカを経て、12世紀以降にヨーロッパに伝わった。中国には7世紀頃、ネパールを経て伝播した。その間、ヨーロッパで西洋種が、中国で東洋種が成立した。日本に伝わったのは16世紀頃、中国から東洋種が渡来し、1862年頃にフランスから、明治時代初期にアメリカから西洋種が導入された。大正末期から昭和初期にかけて、西洋種と東洋種の交雑種が育成され、各地に普及した。

名称の由来

中国で唐代に「頗稜(ホリン)国」(現ネパール)から伝えられ、後に「菠薐」と表記されるようになり、菠薐草の名称となった。

特徴

東洋種、西洋種、交雑種の3種類に大別される。東洋種は葉肉が薄く、葉先が尖り切れ込みが深く、基部が赤い。西洋種は葉肉が厚く大きく、葉柄が短い。

食材情報

カロテンを大量に含む緑黄色野菜の代表的存在。ポパイの漫画で栄養いっぱいのイメージがあるが、実際に積極的に取り入れたい野菜のひとつ。東洋種は、葉が薄く柔らかで歯触りが良く、あくが少なく甘味があるので、おひたしなどに向く。西洋種は葉肉が厚く、あくが強いので、炒め物などに向く。交雑種は、両者の中間的な味わいを持つ。おひたしや胡麻和え、バターソテー、鍋物、パスタやスープ、グラタンなど幅広い料理に利用されるほか、最近では生食できるサラダホウレンソウも人気。独特のあくの原因はシュウ酸によるものだが、水溶性のシュウ酸は加熱することによって減らすことができる。最近では、シュウ酸の少ない品種も多く開発されている。

品種

・剣葉ホウレンソウ
葉先が尖り、切れ込みが深い東洋種。葉肉は薄いが、柔らかで甘みがあり、おひたしなどに向く。

・丸葉ホウレンソウ
葉に丸みがあり、葉柄が太い西洋種。葉肉が厚いので、炒め物に向く。

・山形赤根ホウレンソウ
葉肉が薄く、ギザギザした切れ込みのある東洋種。

・サラダホウレンソウ
生食用に改良された品種。あくが少なく柔らかな歯触り。

・赤茎ホウレンソウ
あくの少ない生食用品種。ベビーリーフとして用いられることも多い。

・ちぢみホウレンソウ
寒さにあてて栽培することで糖度をアップさせた品種。葉肉が厚く甘みがある。

主産地

2013年の全国生産量ランキングは以下の通り。

千葉県    31,200トン
埼玉県    21,700トン 
群馬県    16,900トン 
宮崎県    16,000トン 
茨城県    13,600トン
岐阜県    10,800トン
福岡県    8,180トン
神奈川県 7,220トン
北海道    6,060トン
愛知県    5,940トン

栄養

カロテンを大量に含む緑黄色野菜の代表的存在。カロテンは体内でビタミンAとして働き、粘膜を丈夫にして抵抗力を強化する作用があるとされる。ホウレンソウの緑色は、カロテンの黄色とクロロフィルの青色が合わさったもので、クロロフィルは悪玉コレステロール(LDL)を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やすとされる。ビタミンC、ビタミンB6、鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛などのミネラル類、葉酸を大量に含み、貧血の予防にも効果があるとされる。特に冬の露地栽培ものは、夏ものと比べて栄養価が高い。

選び方

黄色い葉がなく、緑色が濃く、葉先がピンと張ってみずみずしいものを選ぶ。