イネ科
筍、竹の子、Bamboo shoot
主産地:福岡、鹿児島、熊本
旬時期:3月~5月(孟宗竹)

タケノコ

基本情報

「古事記」にも登場するなど、古来から日本で食用にされていたタケノコだが、当時は自生種の真竹(マダケ)が食用にされていたとされる。現在主に流通している孟宗竹(モウソウチク)は、1736年、薩摩藩主島津吉貴が中国から琉球に伝わっていたものを移植したのが日本に伝来した始まりといわれる。

名称の由来

成長が早く、10日間(旬内)で竹になるとされることから「筍」の字が当てられた。「竹の子」とも表記され、これは竹の地下茎から伸びた若い茎であることから「竹の子供」の意味に由来する。

特徴

竹の地下茎は節ごとに根と芽を備え、前年に地下茎に蓄積した養分を元に、春に伸張する。地上に出た若芽の部分をタケノコと呼び、食用にする。成長が早く、孟宗竹は一日に1メートルも成長するといわれる。

食材情報

春の味覚を代表する食材である。独特の旨みがあり、日本料理や中華料理で広く利用される。加工した水煮は通年出回っているが、生の筍は春先ならではの味覚。新鮮なものは焼きタケノコや刺身、炊き込み御飯に調理されるほか、同じ時期に旬を迎える新ワカメと合わせた若竹煮は、春先の出会いものとして喜ばれる。竹の若い茎の部分を総称してタケノコと呼ぶ。竹の種類は約70種類あるが、一般的に食用とされるタケノコは、一般的には孟宗竹の若芽をいう部位によって硬さが違うため、用途によって使い分ける。穂先は椀種や炊き込み御飯、先端の柔らかな部分は和え物、中央部は煮物や炒め物、揚げ物に利用される。「タケノコを掘り始めると同時に湯を沸かす」といわれるほど、掘った後にえぐみが急激に増すので、入手した日のうちに下茹でする。加工品としては水煮のほか、メンマなどに加工される。

品種

・孟宗竹
一般的にタケノコといえば孟宗竹の若芽を指す。大型で厚みがあり、身質は白く柔らかで、えぐみも少なく、独特の旨みと歯ごたえがある。原産は中国江南地方といわれ、1736年に琉球を経由して鹿児島に伝来した。九州から東北南部まで採れる。旬は3月~5月で、タケノコの中で最も早い。

・真竹
日本に自生していた野生種といわれ、関西に多い。皮に黒い斑点があり、肉質はやや硬く、アクが強い。主に竹材用にされる。

・淡竹(はちく)
細長いタケノコで、皮は薄く、赤紫がかっている。味はえぐみの少ない淡白な味。寒さに強く、北は北海道南部でも栽培されている。原産は中国。

・根曲がり竹
日本原産の長さ20cm弱の細長いタケノコ。根元で歪曲することからこの名称で呼ばれる。肉質は白く、独特の風味と歯ごたえがあり、山菜として人気。穂先を水煮にした加工品もある。市場に流通するのは、多くがハウス栽培もので、自生するものは産地の朝市などで見かける。五三竹(ごさんちく)、千島笹(ちしまざさ)、篠竹(すすだけ)などの別名がある。

・四方竹(しほうちく)
中国が原産とされる竹の一種で、茎の断面が丸みを帯びた四角になることから、この名称がついた。

主産地

2008年の全国生産量ランキングは以下の通り。

福岡県    1万3,518トン
鹿児島県    9,604トン 
熊本県    3,703トン 
京都府    2,664トン 
徳島県    1,340トン 
香川県    1,308トン 
大分県    917トン 
石川県    909トン
愛媛県    751トン 
三重県    582トン

栄養

食物繊維セルロースが豊富で、たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウムを含む。アミノ酸の種類であるグルタミン酸、チロシン、アスパラギン酸を含み、これがタケノコ旨み成分となっている。切り口に見られる白い粉状のものがチロシンで、摂取すると脳内物質のドーパミンが増加し、抗ストレス作用があるとされている。

選び方

ずんぐりと太く短いもの、皮にツヤがあり、うぶ毛の揃った、切り口のみずみずしいものを選ぶ。穂先が黄色ではなく緑色のものは、育ちすぎでえぐみが強いので避ける。手に持って、大きさの割に軽いものは、水分が失われ鮮度が落ちている。
 

国産タケノコ