キジカクシ科クサスギカズラ属
松葉独活、Asparagus
主産地:北海道、佐賀、長野
旬時期:6月~9月

アスパラガス

基本情報

原種は南ヨーロッパからロシア南部にかけて分布する。古くから野生のアスパラガスを食用にしていたとされ、紀元前200年頃のローマ時代には、栽培されていた記録が残っている。その後、ヨーロッパ全土に栽培が広がった。北アメリカに伝来したのは1620年頃で、移民がもたらしたとされる。カリフォルニアや東部地区で広く栽培されるようになり、今ではヨーロッパとともに、一大産地となっている。日本に伝わったのは江戸時代後半で、当時は観賞用植物とされていた。野菜として栽培されるようになったのは、1871年、北海道開拓使によって食用の種子が導入されたのが始まりとされる。本格的に栽培されるようになったのは1923年以降といわれる。当初はホワイトアスパラガスがメインで、ほとんどが缶詰加工用だったが、1960年代以降になり、グリーンアスパラガスが好まれるようになった。

名称の由来

新芽を意味するギリシア語asparagosに由来する。和名には、松葉独活(うど)、西洋独活、オランダきじかくしなどがある。

特徴

緑色のグリーンアスパラガスと白色のホワイトアスパラガスに大別される。グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスは品種の違いではなく、栽培方法が異なる。芽が出る前に土寄せして軟白栽培したものがホワイトアスパラガスで、土寄せせず光を当てて栽培したものがグリーンアスパラガスとなる。ホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスに比べると香りが弱いが、特有の甘みとほろ苦さがあり、柔らかな食感が魅力。近年、アントシアニン色素の多い紫色品種のアスパラガスが登場したが加熱すると紫色は失われグリーンアスパラガスと変わらない外見になる。食用となるアスパラガスは、土から顔を出した若い茎の部分で、これを収穫しないでおくと成長して細い葉のようなものが出てくる。この葉のようなものは「偽葉(仮葉)」と呼ばれる「枝」であり、「はかま」と呼ばれる三角形の部分が葉にあたる。

食材情報

成長して枝が出る前の若芽と茎を食用する。古代は薬用にされていたといわれ、疲労回復やスタミナ増強に効果のあるアミノ酸の一種であるアスパラギン酸が多くふくまれている。サラダやおひたし、炒め物、フライなど幅広い料理に利用される。特にホワイトアスパラガスは、ヨーロッパでは春を知らせる野菜とされ、「白い黄金」「貴婦人の指」「食べられる象牙」ともいわれるほどの人気。さっと茹でて、ビネグレットソースやオランデーズソースとともに食べるホワイトアスパラガス料理は、フランスやベルギー、ドイツなどヨーロッパの春の風物詩となっている。

品種

・グリーンアスパラガス
土寄せをしないで育てるもの。光合成をさせて栽培するため、ホワイトアスパラガスに比べて栄養価が高い。代表的品種に「ウェルカム」「スーパーウェルカム」「グリーンタワー」などがある。

・ホワイトアスパラガス
土寄せをして軟白栽培したもの。ほろ苦さと甘み、柔らかさが魅力。皮が固いので、むいてから調理する。青果では外国産のものが多いが、春から初夏には北海道産をはじめ国内産のものが出回る。

・紫アスパラガス
アントシアニン色素の多い紫色品種のアスパラガス。加熱すると紫色は失われグリーンアスパラガスと変わらない外見になる。グリーンのものよりも甘みが強い。

・ミニアスパラガス
グリーンアスパラガスを若採りしたもの。長さ10cm程度で、細く柔らかいため、火の通りが早く調理しやすい。つけあわせのほか、サラダやパスタなどに利用される。

・さぬきのめざめ
香川県農業試験場が育成した香川県のオリジナル品種。2005年に品種登録された。サイズの大きさが特徴で、長いものは40〜50cmになることもある。食感は柔らかで甘味がありジューシー。

・アスペルジュ・ソバージュ
アスパラガスとは別種で、ユリ科オーニソガラム属の野菜だが、アスパラガスに似ていることから「森のアスパラガス」といわれる。フランス原産の山菜の一種。

主産地

2012年の全国生産量ランキングは以下の通り。

北海道    5,000トン
佐賀県    2,770トン
長野県    2,590トン
長崎県    2,200トン
熊本県    1,870トン
秋田県    1,710トン
福島県    1,620トン
山形県    1,360トン
福岡県    1,280トン
栃木県    1,260トン

栄養

アスパラギン酸というアミノ酸とアスパラギンという機能性成分を多量に含んでいる。その名の通り、どちらもアスパラガスから発見された成分で、アスパラギンは体内で酵素の働きを受けてアスパラギン酸に変わる。アスパラギン酸は体内でエネルギー代謝を活発にして、疲労回復を早める。アスパラガスは、収穫ピークの時期には1日5cmも伸びるほど成長が早いが、それは芽の部分にアスパラギン酸が多量に含まれるためといわれる。アスパラガスの穂先にはルチンも多く含まれる。蕎麦などに多量に含まれることで知られるビタミン様成分で、毛細血管を丈夫にし、高血圧や動脈硬化を予防する効果があるとされる。ほかにカロテン、ビタミンC、ビタミンC、ビタミンB群を含む。

選び方

緑色が鮮やかで全体的にハリのあるもの、穂先がピンとして開いておらず、ほどよく締まっているものを選ぶ。切り口が丸く白く、みずみずしいものが新鮮。変色しているものは避ける。ハカマの形が正三角形のものが、生育状態が良いとされる。同じ大きさであれば重みのあるものを選ぶ。