腹足目エゾバイ科バイ属
梅貝、Japanese ivory shell
生息域:北海道南部以南
旬時期:春
調理法:煮つけ、酒蒸し

バイ

基本情報

標準和名バイの本種は激減し、市場に「黒バイ」として流通しているものの多くは、台湾産のヤマグチバイという近縁種である。

名前の由来

巻き貝の典型的なものとして「バイ(貝)」の名称を持つ。「黒バイ」「本バイ」の別名を持つ。ほかの地方名に、「アズキガイ」、「アズキバイ」、「ウミツブ」、「オキニシコウ」、「クリガイ」、「ケンベイ」、「ベー」、「ベーガイ」などがある。「バイ」とは貝の音読みで、バイ貝とは貝の意味の重複の呼び方である。

特徴

日本全域と朝鮮半島、中国の一部に分布する温帯種。沿岸域の浅海砂泥底に生息する。産卵期は6月から8月。雌雄異体で交尾を行う。典型的な腐肉食性の貝であり、体内に格納された吻を長く伸ばして死んだ魚の肉や内臓を摂食する。エッチュウバイなどと同様、その肉食性を利用して、イワシやサバなどを餌にしロープにかごをつけて沈めるバイかご漁という特徴的な漁法が行われている。

食材情報

エゾバイ科の貝は、一般にツブと総称されるエゾボラ類と、バイと総称されるエゾバイ類に分かれる。比較的簡単に漁獲できるため、古くから食用貝として親しまれてきたが、かつては有機スズ化合物による内湾汚染によって、標準和名バイの本種が激減し、「黒バイ」として流通しているものの多くが台湾産のヤマグチバイという近縁種であったことがある。 旨みが強く、煮つけや酒蒸しにして賞味される。産地である富山県では、醤油と砂糖で甘く煮つけたものを内蔵と共に食べる。最近では、醤油味で炊き込んだ「バイ貝ご飯」なども見られるようになった。旬は春。原則として生きているもので、貝殻につやのあるものを選ぶ。過去にテトロドトキシン、ネオスルガトキシン、プロスルガトキシンによる中毒例がある。唾液腺は取り除くこと。

市場での評価

入荷量が少なく、値段は高値で安定している。

漁獲法

腐肉食の性質を利用して、籠に死魚を入れて海中に沈めて漁獲されるバイ籠漁が一般的。北海道から日本海沿岸で主に漁獲される。近年、船の塗料である有機スズ化合物によって内湾が汚染されたために、多くの雌が生殖能力を失い激減した。しかし、その後の船舶塗料規制によって、2000年以降は一部の海域で漁獲量が戻りつつある。