スズキ目イトヨリダイ科
糸撚鯛、糸縒鯛、Golden threadfin-bream、Besugo
生息域:南日本
旬時期:4月~8月
調理法:刺身、蒸し魚、椀物、フライ、唐揚げ

イトヨリダイ

基本情報

奥行きのある上品な味わいの白身で、料理店で取り扱われるイトヨリダイ。新鮮なものは刺身にして良く、皮に独特の風味があることから、霜皮造りにして美味。また蒸し物や椀種にして賞味される。特に関西で人気の高い魚である。

名前の由来

尾びれ上葉後端が鮮やかな黄色で糸状に伸び、泳ぐときに糸を撚ったようにゆらめいていることに由来する。市場では単に「イトヨリ」と呼ばれることが多い。別名にアカナ、アバイトヒキ、イジュキン、イトヒキ、イトヒキコビリ、イトグジ、サンジョウゴメ、テレンコ、ヒナイオ、ボチョ、ヤモメなどがある。

特徴

全長50cm前後。体は細長く、やや側扁する。体表に鮮やかな黄色い線が6~7本縦走する。尾びれは深く二叉し、上葉後端が糸状に伸びる。体色はマダイよりも淡い。琉球列島を除く本州中部以南の西日本、南日本、東シナ海、台湾、南シナ海に広く分布し、水深40~250mの砂泥底に生息し、小魚やゴカイ、甲殻類などを捕食する。産卵期は春から夏。

食材情報

くせがなく旨みの強い白身魚で、蒸し物や椀種などにして賞味される。高級魚であり、特に関西で珍重される。鮮度の良いものは刺身にして美味。皮に独特の風味があるので、霜皮造りにすると旨味が際立つ。身肉が柔らかく水分が多く崩れやすいため、軽く塩をして身を引き締めてから調理することが多い。油とも相性が良く、唐揚げやフリッター、エスカベッシュ、ポワレ、ムニエルなどにしても美味。くせのない白身なので病院食にも使われる。すり身の原料にも使われる。旬は春から夏。目が澄んでいるもの、模様が鮮やかではっきりしているもの、触って張りのあるもの、鰓が鮮紅色のものが良い。カルシウムが比較的多いほか、ビタミンB1やビタミンD、カリウムを多く含有する。

市場での評価

流通量は少ないが、料理店などでの需要があり、値段は安定して高い。大きいものほど高く、近海物の大型のものは特に高値で取引される。底曳きでキロ500~600円程度、定置網や釣りもので1000~1800円程度。近縁種にソコイトヨリダイがあり、市場ではイトヨリダイと同じように扱われている。切り身やすり身の状態でも市場に流通している。すり身は「イトヨリすり身」として売られ、カマボコなどの原料になる。練り物にする際の弾力性の出やすさは、スケトウダラ、シログチ、イトヨリダイの順に高い。

漁獲法

定置網、釣り、延縄漁で主に漁獲される。静岡県以西の太平洋側から九州にかけて多く漁獲される。