フジツボ亜綱完胸目ミョウガガイ科
亀の手、Japanese goose barnacle
生息域:本州以南
旬時期:5月~8月
調理法:味噌汁、蒸し煮

カメノテ

基本情報

貝のように見えるが甲殻類の一種。殻をむいた身は、エビと貝を合わせたような濃厚な旨みを持ち、味噌汁の具や酒蒸しにして美味。もともと磯などで採取されて土地で消費されていたが、近年になって市場に流通するようになった。スペイン語では「ペルセベス」と呼ばれる高級食材。

名前の由来

外形が亀の手に似ていることに由来する。地方名にセイ、セイ貝、タカノツメなどがある。スペイン語では「ペルセベス」と呼ばれ、高級食材とされる。

特徴

全長3~4cm程度だが、7cm前後になるものもある。石灰質の殻をもつ岩礁海岸の固着動物。頭状部と柄部に分かれ、頭状部は殻板と呼ばれる大小の硬い殻が並ぶ。先端側の4対は先端が尖った爪状の三角形で、外側に小さな三角形が環状に18~28個並ぶ。柄部の表面は鱗状の外壁を持つ。これらの殻を楯板・背板・峰板という。北海道南西部からマレー諸島にかけて分布し、潮間帯岩礁の割れ目に群れて生息する雌雄同体だが、他個体と交尾を行う。孵化後、幼生はプランクトンを捕食し、成長すると変態して岩などに付着し、蔓脚を広げて餌を捕食する。

食材情報

もともと磯で手軽に獲れるため、各地で食用となっているが、近年になってから一般に市場に流通するようになった。殻をむいて身と脚の部分を食用にする。エビと貝を合わせたような濃厚な旨みがある。味噌汁にすると美味。日本酒やワインで酒蒸しにしても良い。愛媛県など西日本で塩茹でにして食べる。スペインでは「ペルセベス」と呼ばれる高級食材。旨み成分であるコハク酸に富む。

市場での評価

入荷量は多くはないが、珍しいものではない。値段はやや高値で安定している。産地は四国・九州など西日本が多い。

漁獲法

岩場などで採取される。港や磯、テトラポットの合間などにぎっしりと固着している。