エビ目サクラエビ科サクラエビ属
桜海老、Sakura shrimp
生息域:東京湾、相模湾、駿河湾
調理法:かき揚げ、生食、干しエビ

サクラエビ

名前の由来

体色が桜の花のように透き通ったピンク色に見えることに由来する。

特徴

体長4cm程度。体表に多数の赤い色素胞を持ち、生体は透き通ったピンク色に見える。154個の発光体を持つ。二対の触角の内、第2触角は体長よりも長く、額角は短い。5対の歩脚の内、第2・第3歩脚が鋏脚に変化し、第4・第5歩脚は短い。東京湾、相模湾、駿河湾に分布する。最近、台湾海域でも生息が確認された。日中は水深200~300mほどに群をなし、夜には水深20~50mくらいまで浮上して、海中を浮遊するプランクトンを捕食する。産卵期は5月下旬から11月上旬までで、7~8月が盛期。雌は交尾後に1700~2300粒の卵を産む。1日半ほどで孵化した幼生は脱皮を繰り返しながら成長し、3ヶ月で2cm程度になり、1年で成熟し産卵を行う。寿命は15ヶ月ほど。

食材情報

冷凍技術が発達するまで、サクラエビは乾燥保存されたものが流通していたが、産地では水揚げされた生サクラエビを刺身や釜揚げ、かき揚げ、炊き込みご飯などにして賞味していた。近年では、生サクラエビ(鮮魚・冷凍)や釜揚げ(冷蔵)、干しエビ(干物)などの形態で流通している。干しエビには独特の食感と旨みがあり、かき揚げやお好み焼きのほか、味だしに広く使われる。

ほかのエビと異なり、身だけでなく頭や殻、内臓も食べるため、栄養価としてはカルシウムの摂食量が際立って多く、ほかのエビの約15倍に相当する。また内臓を食べるため、ほかのエビに比べて脂質がやや多い。また殻に含まれるキチン質や食物繊維が多い。

市場での評価

生サクラエビ(鮮魚・冷凍)や釜揚げ(冷蔵)、干しエビ(干物)などの形態で流通している。生での入荷は多くはないが、年々増加している。

漁獲法

東京湾、相模湾、駿河湾に分布するが、サクラエビの漁業権を持つのは駿河湾の蒲原、由比、大井川漁協所属の船のみで、国内水揚げ量の100%は駿河湾産である。これは明治期から始まったサクラエビ漁が度々の争議や乱獲を経て、1917年に県の許可制に移行したためである。1894年11月、由比の漁師がアジの網曳き漁をしていた際に網が深く潜ってしまい、偶然大量のサクラエビが捕れたことがサクラエビ漁の始まりとされている。

主要な漁期は4月から6月までと10月から12月。6月11日から9月30日までは繁殖期にあたり禁漁、冬はエビが海洋深層にいるため休漁となる。秋には大型の「親エビ(ひねエビ)」と、夏に孵化した小型の「新エビ」が混ざって水揚げされる。

・由比漁港(静岡県静岡市清水区)
期間限定で、漁港内でかき揚げ丼などが食べられる。サクラエビ・シラスなどの関連商品を取り扱う直売所も併設され、毎年5月3日にサクラエビ祭りが行われる。

・大井川港(静岡県焼津市)
1940年(昭和15年)、蒲原町(現静岡市)の加工業者が大井川町(現:焼津市)に工場を建設。地域団体商標として、由比桜えびと駿河湾桜えびが登録されている。