スイレン科ハス属
蓮根、Chinese lotus
主産地:茨城、徳島、佐賀
旬時期:11月~3月

レンコン

基本情報

レンコンは中国種と在来種に大別される。原産地は中国、エジプト、インドと諸説あり、日本には奈良時代に中国から渡来したとされるが、当初は観賞用とされていた。鎌倉時代以降、僧道元らによって中国から導入された品種が食用とされ、各地に広がって、現在の在来種となった。現在市場に出回っているものの多くは、明治時代以降に導入された中国種で、肉厚で太いのが特徴。

名称の由来

ハスの音の意に由来する。ただし、実際に食用にするのは根ではなく地下茎である。

特徴

ハスの肥大した地下茎がレンコンとして食用とされる。地下茎には通常10個の穴が開いており、通気孔として地上の葉から節を通って、根の部分に空気を送り込む働きをする。

歴史

日本におけるハスの歴史は、少なくとも中世代にまで遡ることができる。約七千万年前のハスの化石が、福井県や九州や北海道で見つかっている。有史移行の資料では、古くは713年の常陸風土記に現在の茨城県にあたる地域でハスが食されていたことが記されている。時代を下ると、鎌倉時代には僧が中国から持ち込んだり、明治時代には政府が中国からの品種をひろめたりした。現在では、鎌倉時代に日本に入った種が土着化して在来種とされている。在来種は、可食部が細長いのが特徴である。また、明治時代に導入されたものは、中国種やダルマと呼ばれ、可食部がずんぐりと丸い形をしている。より細かく分類すれば、食用のハスは数十種類である。なお、観賞用のハスは数百種類もある。

主産地

現在の主要産地が形成されたのは比較的最近である。蓮根は変色しやすい軟弱野菜であるから、もともとは消費地付近でしか生産されておらず、1950年台までは大阪や東京近郊の低湿地に生産地が限定されていた。しかし1960年に高度成長期が訪れると、生産地に大きな転換が見られた。経済成長に伴い都市が拡大したために、これまでの蓮根農地は埋め立てられ、蓮根農地が郊外の低湿水田へと移動していったのである。こうして、首都圏では茨城県が、中京圏では愛知県が、近畿圏では徳島県が新興大産地として成長することとなった。さらに、1970年に開始された減反政策によって、蓮根栽培が稲作に取って代わった。蓮根生産に対する減反の影響は非常に大きく、現在では全国の蓮根の作付面積のうち、約50%が減反後にできあがったものだとされている。

2013年の全国生産量ランキングは以下の通り。

茨城県    2万6,500トン
徳島県    6,480トン 
佐賀県    3,760トン 
愛知県    3,500トン 
山口県    2,820トン
新潟県    1,750トン 
熊本県    1,720トン
岡山県    1,620トン
千葉県    1,300トン 
石川県    1,000トン

食材情報

さっと火を通すとシャキシャキとした歯触りが魅力で、きんぴらなどに欠かせない食材。さらに火を通すと、主成分のでんぷんが糊化して、もっちりとした食感になる。酢の物や炒め物、煮物、揚げ物など幅広い料理に使われるほか、すりおろしてレンコンもちやすり流しに調理される。繊維の切り方によって食感が変わり、シャキシャキ仕上げたい時は輪切り、ホクホク仕上げたい時は乱切りにすると良い。地下茎に通常10個の穴が開いていることから、「先の見通しがきく」として、お正月や慶事には欠かせない縁起物の野菜となっている。中国や台湾では、実(種子)を乾燥させたものが菓子などに使われるほか、葉も茶や薬として利用される。

品種

レンコンは中国種と在来種に大別される。中国種は、ずんぐりと太く肉厚で、病気に強く収穫量が多い。在来種は、ほっそりとして柔らかく味が良い。現在市場に出回っているもののほとんどは中国種が占める。

・金澄
関東地方に多い。14号、20号、34号、35号などがある。20号は収量も多く、最も広まっている。34号、36号などは小ぶりだが食味が良い。

・加賀レンコン
石川県で栽培されているレンコン。加賀藩五代藩主前田綱紀の頃から栽培されていたと伝えられる。色白で肉厚、粘りが強いのが特徴。加賀野菜に認定されている。

・赤蓮根(友弘)
外皮・肉ともに赤色をしている蓮根。備中種の突然変異。生産者が世界中で友弘氏しかいないため、「友弘」で農水省の品種登録をしている。食味は、きめが細かくもっちりしている。

栄養

糖質が多く、エネルギーが高い。ビタミンCを多く含むほか、ビタミンB1、ビタミンB2などのビタミンB群、カリウム、カルシウム、鉄、銅などのミネラル類をバランスよく含んでいる。切り口は黒く変色しやすいが、これはポリフェノールの一種であるタンニンに起因する。タンニンは抗酸化作用、消炎作用があるとされる。不溶性食物繊維やムチンも豊富で、整腸や粘膜保護にも良いとされる。

選び方

表面に色ムラや傷がなく、厚みと重みのあるもの、切り口が白くみずみずしいものを選ぶ。穴の中が黒ずんでいるものは鮮度が落ちている。