ヤマノイモ科ヤマノイモ属
山芋、Chinese potato
主産地:北海道、青森、長野
旬時期:12月

ヤマノイモ

基本情報

古来から日本の山野に自生するヤマノイモ属のつる性植物の内、栽培作物として発達したものを総称してヤマノイモという。野生のヤマノイモ属は世界中で約600種類あるとされ、日本産がその北限となる。一般的に、栽培品種を「ヤマイモ(山芋)」、山に自生する自然薯を「ヤマノイモ(山の芋)ということが多い。

名称の由来

里で採れるサトイモに対して、山に自生するイモの意でヤマイモ、ヤマノイモと呼ばれる。

特徴

現在、国内で採れるヤマノイモは、棍棒のように細長い長芋群、扁平な形状のイチョウ芋群、団塊状になるつくね芋群の三種類に大別される。でんぷん分解酵素のジアスターゼが豊富に含まれていることから、生でも食べることができる。

食材情報

「山うなぎ」といわれるほど、滋養強壮に良いとされてきた。長イモは粘りが少なく、水分が多いので、千切りや薄切りにして酢の物やサラダに利用する。イチョウイモ、つくねイモ、自然薯など粘りの強いものは、すりおろしてとろろにする。とろろ汁や麦とろ、やまかけ、すりおろして海苔に包んで揚げる磯辺揚げなどに調理するほか、魚のすり身などに混ぜると、ふんわりとした触感に仕上がる。薯蕷饅頭や軽羹(かるかん)などの和菓子にも利用される。

品種

・長イモ
棒状で、長いものは1mにもなる。栽培されているヤマノイモの約3分の2がこれにあたる。水分が多く、粘りが少ないので、千切りや薄切りにしてサクサクとした歯触りを楽しむ。

・大和イモ
握りこぶし型で、粘りが強い。丹波イモ、伊勢イモなどが有名。ヤマノイモの中では最も粘りが強く、触感が濃厚。すりおろしてとろろにしたり、磯辺揚げに調理する。薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)や軽羹(かるかん)の原料としても利用される。

・いちょうイモ
扁平な形状で、長イモよりもなめらかで粘りが強く、とろろに最適。関東では大和イモとも呼ばれる。

・つくねイモ
握りこぶし型で、粘りが強い。和菓子の原料や、魚のすり身のつなぎに利用される。関西では大和イモとも呼ばれる。

・自然薯
天然物は粘りが強く味も良い。収穫までに3~4年かかり、長さ60~100cmと細長く掘り出すのに困難であることから、天然物が市場に流通することはほとんどなく、出回っているものは栽培物。古来から食用だけでなく、薬用として利用されてきた。

・むかご
自然薯や長イモの腋芽の部分が養分を蓄えて、小指の先ほどの形状になったもの。塩茹でや素揚げにして食べるほか、ごはんに炊きこんでむかごご飯に調理する。

主産地

2014年の全国生産量ランキングは以下の通り。

北海道    61,900トン
青森県    59,440トン
長野県    8,180トン
千葉県    7,160トン
群馬県    6,080トン
岩手県    3,500トン
茨城県    3,380トン
秋田県    1,190トン
鳥取県    1,130トン
山梨県    796トン

栄養

イモ類の中では、水分とたんぱく質が多く、炭水化物とエネルギーが少ない。たんぱく質の消化吸収を助けるビタミンB群やビタミンC、カリウムなどのミネラル類、食物繊維がバランスよく含まれる。炭水化物を分解する酵素アミラーゼが多く含まれているため、生で食べることができる。古くから食用だけでなく薬用とされ、漢方では乾燥させたものを「山薬(さんやく)」と呼び、肺や腎臓などの働きを補い、糖尿病や滋養強壮に良いとされている。

選び方

長イモは丸く太ったもので、ひげ根の多いものほど粘りが強い。いちょうイモは皮が滑らかで傷のないものを選ぶ。切り口が白くみずみずしいものが新鮮。