オニオコゼ

カサゴ目オニオコゼ科オニオコゼ属
鬼虎魚、鬼鰧、Stonefish
生息域:本州中部から東シナ海の沿岸
旬時期:6月~8月
調理法:刺身、唐揚げ、潮汁、味噌汁、煮物

オニオコゼ

基本情報

個性的な外見に反して、コリコリとした歯ごたえと甘みのある白身を持ち、「夏のフグ」と呼ばれるほどの高級魚。オコゼ類の中で唯一食用になるのがオニオコゼ。新鮮なものは薄造りにして良く、肝も美味なので、肝醤油と合わせると絶品。皮下がゼラチン質に富み、皮の肝和えも珍味として人気。

名前の由来

「オコ」(痴/烏滸)は愚かなこと、馬鹿げていることを意味する古語で、「ジ」は魚名語尾。オニオコゼは「鬼のように醜く奇怪な風貌の魚」が語源とされる。地方名に、ヤマノカミ(日本各地・山の神は醜女であるという言い伝えがあり、そのように醜い魚の意)、チオコゼ(神奈川県・頭が大きく尾の方が細い外形から「槌オコゼ」の意)、ボウチョオカサゴ(静岡県静浦・傷が治るときにできるカサブタを「ボウチョオ」という意味から「カサブタのような外形のカサゴ」の意)、イジャジャミ(兵庫県淡路島・「棘棘魚」(イライラミ)」が転訛したもの)、オクジ(秋田県)、ツオコジョ(北陸)、アカオコゼ(東京)、オコジン(広島)、オクシ(九州)などがある。「御伽草子」には好物のオコゼを見て、その醜悪さにわが身を慰める醜女の山の神が登場する。明治時代の生物学者・民俗学者である南方熊楠は「山神オコゼ魚を好むということ」という随筆の中で、オコゼを山の神に奉って儲けたという和歌山県南部に伝わる伝承を紹介している。たとえば山奥で木材を伐採して川の水量が足りずに運べなかった時に、山の神にオコゼを奉ると大雨が降って運べるようになったというもの。また日向地方では、オコゼを奉りイノシシを望むと、オコゼを好む山の神がイノシシを与えてくれるという伝承がある。

特徴

全長25cm程度。体全体に皮質の突起があり、とげとげしく見える。関東以南の太平洋、新潟県以南の日本海、東シナ海沿岸部の浅い内湾から水深200mくらいまでの砂泥底に生息する。底生性で、あまり泳ぎ回ることなく海底に潜み、砂や石に擬態する。体色は生息場所によって変化するが、暗い赤褐色から黒褐色で、褐色の文様がある。頭部の背面はデコボコしている。胸びれの下方2条が遊離し、背びれの棘に毒腺を持ち、、刺されると激しく痛むので注意が必要。調理をする時には必ず背びれを取り除く。甲殻類や小魚を捕食する。産卵期は初夏から夏。

食材情報

個性的な外見に反して、味は絶品。白身はコリコリと歯ごたえがあり、旨みに溢れ、皮下はゼラチン質でねっとりした味わい。そのうまさは「夏のフグ」と称されるほど。新鮮なものは薄造りにして賞味する。肝も旨いので肝醤油にすると良い。皮と肝和えも珍味。唐揚げやちり鍋にしてもよい。可食部が少ないが、アラは味噌汁や潮汁にすると、なんともコクのある出汁が出て美味しい。九州や四国での水揚げが多く、西日本で人気のある魚だが、最近では西日本から空輸され、都内のデパートでも見かけるようになった。オニオコゼ科で一般に食用とするのは本種のみ。生きのいいものは、皮に張りがあり、表面がざらざらしている。

低脂肪・低エネルギーだが、たんぱく質は比較的豊富。ビタミンB12やマンガンを含む。唐揚げにすると骨ごと食べられるため、カルシウムが摂取できる。

市場での評価

年間を通じて入荷されるが、晩春から夏にかけて多い。活けのものは非常に高価。野締めはやや値段が落ちる。九州や瀬戸内海などからの入荷が多い。中国・韓国からの冷凍物も輸入されているが、値段は国産の半値以下。

漁獲法

刺し網や底曳き網、底延縄などで漁獲される。