シロギス

スズキ目スズキ亜目キス科キス属
白鱚、Japanese whiting
生息域:北海道南部~日本各地(沖縄を除く)
旬時期:5月~7月、12月
調理法:塩焼き、天ぷら、刺身、干物

シロギス

基本情報

一般的にキスといった場合には本種を指す。江戸前の寿司や天ぷらに欠かすことのできない食材である。皮に独特の味があり、焼き霜造りや酢締め、昆布締めにして良く、天ぷらに揚げるとほっくりと軽く上品な味わいで、海老やイカと並んで天ぷら屋で一年を通じて提供される魚である。

名前の由来

「生直(きす)」=「性質が素直で飾り気のない」に魚を表す語尾である「ご」がついたとされる。市場では「きす」と呼ばれる。地方名に「キスゴ」(関西・四国・九州)、「アカギス」(徳島)、「キツゴ」「ナタギス」「ホンギス」(島根)、「マギス」(関東)などがある。釣り人の間では、大型のものを「ヒジタタキ(肘叩き)」、小さいものを「ピンギス」と呼ぶ。

特徴

全長20cm前後。体は細長く紡錘形で、やや側扁し、口が先細りになっている。硬く小さな鱗におおわれている。背びれは2基あり、第一背びれは11棘条、第二背びれは1棘21~23軟条。半透明で棘条の間に細かい褐色の斑点がある。尻びれ2棘22~24軟条。尾びれは白く縁が黒色。背面は緑灰色で、腹面は白いことからシロギスの名を持つ。目の周りを金色の縁が取り囲む。

東アジアの沿岸域に広く分布し、国内では北海道南部から九州にかけて広く見られる。水深20mまでの砂底付近に生息するが、寒くなると深場に移動する。海底から10cm程度の場所を数十尾で群れて移動する。周辺部に音を察知すると砂に潜る。産卵期は6月から10月頃。稚魚は浅い湾やアマモ場にとどまり、成魚になると開放的な環境に移動する。2年で成熟する。小型甲殻類や多毛類などを捕食する。

食材情報

ほとんどのキス類が食用となるが、日本で一般的にキスといった場合、本種を指す。見た目の美しさから「海の女王」といわれるシロギスは、江戸前の寿司や天ぷらに欠かせない食材である。江戸前寿司の世界では、ひかりものに分類される。身肉は白く透明で、白身魚のように見えるが、皮目に独特の癖があるので、必ず酢と塩で締めて、皮を柔らかくして握る。天ぷらに揚げるとほっくりと軽く上品な味わいで、海老やイカと並ぶ定番の天種となる。寿司の世界では60~70g程度のサイズで、身肉のたっぷりしたものが好まれ、天ぷらの世界では、45~50gのものが選別される。

皮に独特の旨みがあることから、焼き霜造りにしても美味。また塩焼きや酒干しにしても旨い魚である。シロギスは年2回旬を迎えるといわれ、通常いわれる春先から初夏にかけて、もうひとつは12月前後の落ちギスである。水温が低下する12月から2月にかけて、キスは深場に移動し、3月から5月にかけて、水温の上昇に伴って浅場に移動し、産卵期に向けて身を肥やしていく。産卵後の秋から徐々に身肉を戻し、再び水温が低下して孵化場に移動する際に、食欲が活発になり脂の乗った落ちギスが釣りなどで水揚げされる。

脂肪が少なく水分が多い白身魚。脂肪が少ない割に脂溶性のビタミンDがやや多い。またカルシウムとリンの含有量が多い。

市場での評価

関東では鮮魚、冷凍もの共に入荷が多い。鮮魚は高値で安定している。豊洲市場では、神奈川県葉山・逗子の釣り漁のものが最高級品質として評価されている。。千葉県富津・竹岡のものも評価が高い。ほかに秋田県能代、三重県答志島・伊勢、静岡県舞阪、愛知県師﨑、兵庫県淡路島、富山県新湊、福岡県福岡、鹿児島県出水などから入荷される。

漁獲法

投げ釣り、刺網漁、曳き網(キス漁)で主に漁獲される。東京湾では江戸時代に脚立釣りが行われ、江戸の風物詩となっていた。これは船頭が卸してくれた脚立の上に腰を据えて釣りを楽しむもので、船頭が弁当や飲み物を届けてくれたり、場所を移動させてくれる大名釣りである。現在ではリールの発達により、砂浜からの投げ釣りが普及し、脚立釣りは幻となった。船釣りは通年行われるが、陸からの釣りで釣果が上がることから、釣り人に人気が高く、特に夏にはシロギスを狙った釣りが盛んである。