タラ目タラ科スケトウダラ属
介党鱈、鯳、Alaska pollock
生息域:相模湾以北
旬時期:10月~12月
調理法:練り物、みそ汁、煮つけ、鍋、唐揚げ、バター焼き

スケトウダラ

基本情報

多くはチクワやカマボコなどの練り物に加工されたり、卵巣はタラコや明太子に加工されるなど、日本人の食生活になじみの深い魚である。身の鮮度劣化が早いため、鮮魚は産地である北海道や東北以外ではあまり見られなかったが、流通技術の進歩によって、近年では流通するようになった。かつては年間四百万トンもの水揚げがあり、魚介類の漁獲量の中でもトップを誇る魚だったが、現在では漁獲量が激減している。

名前の由来

佐渡近海で多く獲れ、味が良いことから、「佐(スケ)」「渡(ト)」に由来するといわれる。「佐渡鱈」のほか「介党鱈」などの漢字を当てる。地方名に「タラ」(北海道)、「スケソウ」「ゲンスケ」(東北)、「スケトウ」「ナツトオダラ」「ヨイダラ」(新潟)、「キジダラ」「キダラ」「シラミダラ」(冨山)、「スケドオ」(島根)などがある。また2~3歳くらいの若魚をピンスケやピンコ、それより小さいものをマゴスケ、クギなどと呼ぶこともある。スケトウダラのほか、スケソウダラ(介宗鱈・助惣鱈)とも呼ばれる。

特徴

全長70cm。外形はマダラに似るが、体は小さく細身で、口ひげはほとんど目立たない。また体側に細い縦線があること、スケトウダラは目が大きく、下顎が上顎より前に出ていることなどから区別できる。背側の体色は褐色で腹側は白色。タラ類に共通の特徴である、3基の背びれと2基の尻びれを持つ。

太平洋沿岸・オホーツク海・ベーリング海・カリフォルニア州沿岸までの北太平洋に広く分布し、日本では相模湾以北のから水深500mまでの沿岸や大陸棚斜面の海底に生息する。海水温が低下する冬季は岸近くの浅場まで回遊する。産卵期は冬から春。陸棚付近の中層に分離沈性卵を産卵する。春先に藍藻類が増殖する頃に孵化し、幼魚は1歳前後まで春先沿岸の表層で動物プランクトンを食べて生活し、その後深場に移動する。2年で20cm、5年で40cmほどに成長。アミ類など大型のプランクトン、貝類、頭足類、甲殻類、小魚などいろいろな小動物を捕食する。約3~5歳で成熟し、寿命は15年程度。

広い範囲を回遊せず、比較的狭い範囲の群れを形成して回遊すると考えられており、日本付近の群れは産卵場所と生育場所が異なる「日本海北部系群」「根室海峡」「オホーツク海南部」「太平洋系群」に分けられる。

食材情報

秋から冬にかけて鮮魚も流通するが、チクワやカマボコなどの練り物などに加工されることが多い。鮮魚は安く、キロあたり300円程度。スケトウダラの卵巣を塩蔵したものがタラコで、明太子などに加工される。加工される前の卵巣(「助子(すけこ)」)は500gで1000円程度で取引される。国内では北海道が漁獲量1位で、北海道での家庭ではスケトウダラの煮つけやチャンチャン焼きが食卓に上がる。フライや煮つけ、味噌汁、唐揚げなどにも料理される。スケトウダラの白子(「助白(すけしら)、スケダチ)はスーパーなどでは「タラの白子」としてキロあたり1000円程度と比較的安く売られているが、マダラの白子の方が味わいは格段に上(マダラの白子はその2倍程度の価格となる)。スケトウダラの白子はホワイトソースに混ぜてクリームコロッケに料理しても美味。真子はマダラの真子より小さく味も繊細で、含め煮にすると美味である。ポンタラは北海道で食べられているスケトウダラの身を指す。なお鮮魚でポンタラといえば、マダラの1kg未満の小さなものを指す。

アニサキス、ニベリニアなどの寄生虫を保有しているため、生のスケトウダラを食べる場合には事前に凍結(マイナス20℃以下で24時間以上)させる必要がある。

漁獲法

オホーツク海を中心として沿岸での底引き網や延縄などで漁獲される。漁期は11月から翌年3月に行われる。かつては年間に400万トンも水揚げされ、魚貝類の漁獲量の中でもトップだったが、排他的経済水域(200海里水域)の制定により、かつて主要魚場であったベーリング海での漁獲がなくなり、漁獲量は激減した。1980年代には国内総漁獲量は年間最大50万トンを超えていたが、1990年代に入ると30万トン水準に低下し、2000年代には20万トン前後で推移している。1997年以降、TACによる管理が行われている。

2002年度の陸揚げ漁港は上位から以下の通りである。

第1位 - 追直漁港(北海道)
第2位 - 石巻漁港(宮城県)
第3位 - 砂原漁港(北海道)
第4位 - 羅臼漁港(北海道)
第5位 - 落部漁港(北海道)