サトイモ科サトイモ属
里芋、Taro
主産地:北海道、佐賀、長野
旬時期:5月~6月

サトイモ

基本情報

サトイモ科の植物の塊茎と肥大した地下茎を総称してサトイモという。葉柄の部分は、ずいきと呼ばれる。原産地はインド東部からインドネシア半島にかけてとする説が有力で、インドでは少なくとも紀元前3000年頃には栽培されていたとされる。現地ではタロイモの呼称で呼ばれる。日本に渡来したのは縄文時代とされ、米の渡来よりも古いとされる。ジャガイモやサツマイモが普及していなかった江戸時代までは、芋といえばサトイモを指すほどメジャーだった。

名称の由来

山でとれる山イモ(自然薯)に対して、里で栽培されていたことに由来する。ほかに田芋、畑芋、家芋などの呼称があるが、いずれも里のそばでとれることに由来する。

特徴

サトイモは、種芋の上に子芋ができ、親芋に子芋、子芋に孫芋がつく形で成長する。サトイモの品種は、親芋を食べるものと、子芋や孫芋を食べるものに大別される。

食材情報

古来から正月や十五夜といった儀礼食に欠かせない「ハレ」の野菜とされてきた。東北地方では秋になると「芋煮会」が行われ、サトイモを使った鍋を地域の住民たちが川原などに集まって楽しむ。この歴史は江戸時代に遡るとされ、米の不作に備えてサトイモを栽培していた農民たちが、秋の収穫を祝って始めたとされる。サトイモ類の葉柄を柔らかく栽培したものは、ずいきと呼ばれ、皮をむいて乾燥させてものは干しずいき、芋がらと呼ばれ、古くから保存食として重宝されてきた。独特のぬめり成分があり、煮物にする際には、事前にぬめりをとった方が味が染みやすい。

品種

・土垂(どだれ)
子芋を食用にする品種。軟質で柔らかな食感。関東地方に多く流通する。貯蔵性が高いことから、一年中流通するが、旬は初秋。

・石川早生
子芋を食用にする品種。土垂に比べて小ぶりで球形。淡白な味わい。蒸して、きぬかつぎなどの料理に使われる。旬は夏から初秋。

・えぐ芋
子芋を食用にする品種。石川早生に似ているが、味にえぐみがあることから、この呼称がある。

・京芋
親芋を食用にする品種。主産地は宮崎県。形状が似ていることから、竹の子芋の別称を持つ。煮崩れしにくいので、煮物に向く。

・海老芋
親芋も子芋も食用にする品種。もともと唐芋という品種を土寄せして、エビのように曲げたものを海老芋と呼ぶ。安永年間(1772~1781年)に青蓮院宮が長崎から持ち帰った里芋の種を栽培したのが始まりと伝えられる。京都の伝統野菜「京野菜」に認定されており、京芋とも呼ばれるが、同じく京芋の呼称を持つ竹の子芋と混同されることがある。土寄せをして栽培するため、手間がかかることと、その味の良さから高級野菜となっている。棒鱈と海老芋を炊き合わせた「いもぼう」は京都の名物として知られる。

・セレベス
親芋も子芋も食用にする品種。インドネシアのセレベスから渡来したことに由来する。大吉の別称がある。粘質で味わいは良いが、煮崩れしやすい。

・赤芽芋
親芋も子芋も食用にする品種。芽の部分が赤いことからこの名称となった。九州地方の赤土で栽培される。粘りがあり柔らかく、煮物に向く。

・八つ頭
親芋を食用にする品種。ひとつの種から八方に芽が吹き出ることから、この名称となった。数字の「八」が末広がりにつながることから縁起の良い野菜とされ、また人の頭の立つことができるとして、正月のおせち料理に利用される。粘質で水分が少ない。

・芽芋
サトイモの芽を軟白栽培し、長く育てたもの。煮物や酢の物に利用される。

主産地

2012年の全国生産量ランキングは以下の通り。

北海道    5,000トン
佐賀県    2,770トン
長野県    2,590トン
長崎県    2,200トン
熊本県    1,870トン
秋田県    1,710トン
福島県    1,620トン
山形県    1,360トン
福岡県    1,280トン
栃木県    1,260トン

栄養

主成分はでんぷん質だが、食物繊維が豊富で水分も多いので、芋類の中では低カロリー。
独特のぬめり成分は、ムチン、マンナン、ガラクタンなど多様な成分から構成される。
ムチンは、胃の粘膜保護や、肝臓や腎臓の働きを助ける作業があるほか、脳細胞の活性化にも有効といわれる。マンナンは、こんにゃくに含まれることで知られる水溶性食物繊維で、便秘予防やコレステロール低減、糖尿病予防などに効果があるとされる。たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンCを多く含むほか、カリウム、マグネシウム鉄、亜鉛、銅などのミネラルを含有する。

選び方

形が良く、太って湿り気のあるものを選ぶ。土の中に埋めておくと、長期間の保存が可能だが、常温でも湿らせた新聞紙で包むなどして、乾燥を防ぐことによって日持ちさせることができる。