スズキ目フエダイ科フエダイ属
笛鯛、Star snapper
生息域:南日本
旬時期:春から夏
調理法:刺身、煮つけ、味噌汁、ポワレ

フエダイ

基本情報

南日本で人気が高く、鹿児島県や宮崎県では初夏の風物詩のような魚。身肉は透明感があり、しっとりとなめらかで旨みが濃く、白身の血合が美しいことから、寿司種としても珍重される。関東ではほとんど流通していない。

名前の由来

口吻が前に突き出ており、口笛を吹くように見えることに由来する。地方名にアカンチャ、アブラダイ、イナクー、シブダイ、ホシタルミ、ヤマモチなどがある。

特徴

全長50cm前後。体は楕円形で強く側扁し、全体に赤褐色で、ひれは黄色い。体側の後方上部に白い斑点があるが、死ぬと消滅する。若魚は頬に水色の縦線が数本走る。本州中部以南の南日本、中国沿岸の南シナ海に分布し、岩礁域に生息する。沿岸部の岩礁やサンゴ礁に生息し、海底近くを遊泳する。肉食性で、小魚・甲殻類・頭足類などを捕食する。産卵期は5~7月で、夜に分離浮性卵を産卵する。

食材情報

非常に美味な魚で、九州南部や沖縄で高級魚とされる。旬は春から夏で、鹿児島県や宮崎県では初夏の風物詩。皮が厚く、鱗が硬く取りづらい上、骨も硬いが、身は透明感があり、しっとりとなめらかな舌触りで旨みが強い。血合いが美しいので、寿司種にして喜ばれる。皮下に脂の層があり、トロリとして美味。クセのない良い出汁が出る。身がほど良く繊維質で身離れが良いので、煮つけにしても良い。皮が厚いので、皮目をカリッと焼いてポワレなどにすると香ばしく美味。

市場での評価

関東にはほとんど入荷されない。九州など南日本で人気が高い。2kg前後のもので状態が良いものはキロあたり2000円程度の値がつくこともある。

漁獲法

定置網、底曳き網などの沿岸漁業で漁獲される。主な産地は沖縄県、鹿児島県、宮﨑県、東京都小笠原諸島などである。近縁種にタテフエダイとヨコスジフエダイがある。この両種はオキイサキとして呼ばれ、市場ではあまり区別されていない。イッテンフエダイはタテフエダイと外形が似ているが、身にシガテラ毒があるため、食用にならない。ハナフエダイ(サクラダイ)は八丈島などで水揚げされ、500~800円程度と安く美味。