ホウボウ

カサゴ目ホウボウ科
魴鮄、Sea robin
生息域:北海道南部以南
旬時期:10月~2月
調理法:刺身、寿司種、煮つけ、塩焼き、唐揚げ、鍋、ムニエル、干物

ホウボウ

基本情報

殿様が愛した魚の意から「君魚(きみうお)」の別名を持つ。タイにも匹敵するといわれるほど、非常に美味な白身魚。胸びれが大きく鮮やかなコバルトグリーンで青く縁取りされ、翼のように広がる。身は赤紫色で、胸びれの下の軟条を足のように使って海底を歩き回り、浮き袋を振動させて鳴く。晩秋から冬にかけて、見事に脂が乗り、柔らかいがしっかりした密度のある身質と、舌触りの良い滑らかな食感で、噛むほどに旨みに溢れる魚である。活きが良く身の締まったものは刺身に最高。冬場にヒラメが不漁のときに、ヒラスズキやアラなどと共に使用されることもある。近年になって市場への入荷が増えている。

名前の由来

方頭(カナガシラ)の近縁種で形も似ていることに由来するという説、頭が大きく角ばっていることから「方帽」に由来するとする説、「這う魚」が転訛したとする説、浮き袋の振動による鳴き声に由来するとする説などがある。地方名にカナンド、キミ、キミウオ、キミヨ、ドコ、ホコノウオなどがある。カナガシラと呼ぶ地方もあるが、カナガシラは別種(近縁種)であるためまぎらわしい。

特徴

日本近海に分布するホウボウ科の中では最も大きく、全長40cmに達する。身体は細長く、目が小さい。胸びれが広がり翼状になる。胸びれは大きく鮮やかな緑色で青野縁取りと白い斑点があり美しい。胸びれの一番下の軟条3対は赤く、昆虫の足のように太く発達しており、この軟条を使って海底を「歩く」ことができる。頭が大きく、尾の方が細くなる円錐形の体型をしている。背面は灰褐色と赤のまだら模様で腹面は白色。頭部は硬い骨板におおわれている。鼻先が尖り口が大きい。胴体はザラザラした細かい鱗におおわれている。

浮き袋を振動させてグーグーと音を出して鳴くため、鳴き袋とも呼ばれる。北海道南部以南から黄海、東シナ海、南シナ海まで分布し、水深100~200mほどの砂泥底に生息する。獲物を探す時は、胸びれの軟条を使って砂泥底を歩くようにして移動する。この軟条の先が触覚のような役割を果たし、砂に潜った獲物を探る。肉食性でエビ、カニ、小魚などを捕食する。産卵期は春で、浮性卵を産卵する。卵はプランクトンとして浮遊し、数日のうちに孵化する。孵化した仔魚はほかのプランクトンを捕食しながら成長し、成魚になると海底で生活するようになる。幼魚は全身が黒いが、大きくなるにつれ体色が鮮やかに変化する。

食材情報

生では薄いピンク色がかった白身の肉は、旨みと歯ごたえがあり、非常に美味しい白身魚。可食部分が4割程度と歩留まりが低いが、刺身にすると美味。肝を添えると濃厚な旨みが合わさって絶品である。寿司種としても良く、活け締めされたものは一晩経つと熟成の旨みが出て美味。青森から九州で水揚げされるが、外房の釣り漁ものが最上とされる。煮つけ、塩焼き、唐揚げ、鍋、ブイヤベース、ムニエル、干物など多様な料理で楽しむことができる。アラからも良い出汁が取れ、潮汁などにする。ゼラチン質が多いので煮こごりが良く、ホウボウの煮こごりは通の間でも人気が高い。旬は秋から産卵を控える初春にかけて。寒くなるにつれて脂が乗って美味になる。浮き袋はねっとりとした食感で、塩焼き、煮つけなどにできる。キモや心臓も珍味となる。

背の色は青みがかった灰色で、その上に赤い斑点があるが、この斑点の赤みの濃いものが新鮮。

市場での評価

近年に市場への入荷量が増えている。活魚は高価に取引される。

漁獲法

刺し網、底引き網、釣りで漁獲される。シロギスやヒラメの外道で釣れる。