ミルガイ

マルスダレガイ目バカガイ科
海松食、水松食、Geoduck clam
生息域:日本全国の内湾
旬時期:2月~4月、12月
調理法:刺身、寿司、卵巣のつけ焼き、柱などのバター焼き

ミルガイ

基本情報

寿司屋では一般にミルガイと呼ばれる。「ミル」と呼ばれる水管の身肉は、コリコリとした歯ごたえと、噛むごとに磯の香りを感じる甘みがあり、トリガイやアカガイと並んで、江戸前の寿司種になくてはならない貝である。産卵期に向けて身肉が太り、また肝を包含した卵もパンパンに肥え太っていく。通称「ミル舌」と呼ばれるこの部分もまた美味で珍重される。千葉県富津、愛知県の三河湾、渥美半島伊良湖近辺のものが特に評価が高い。キロ4000円前後の価格をつける超高級貝である。近年は韓国からの輸入物も増えており、国産に比べて安価であり、価格の割に味が良く人気である。また「白ミル」と呼ばれる類似品が出回っているが、これはナミガイという別種である。

名前の由来

水管の表面に「みる」などの海藻がつき、水管が引っ込むときに貝がみるを食べているように見えることから「みる食い(ミルクイ)」の名前がついた。市場や小売、寿司屋などでは「ミルガイ」と呼ばれるのが一般的。ホンミル、クロミルとも呼ばれる。

特徴

日本全国に分布し、主に瀬戸内海や三河湾、東京湾などの内湾の水深10mくらいの砂泥底に潜って生息する。殻長15cm、殻高9ccm程度。外形は四角形に近く、殻表は黒い殻皮におおわれている。水管が大きく発達しているのが特徴で、水管は殻の中に引っこめることができず、殻の端が広く開いて水管が飛び出す形となっている。産卵期は3月頃と10月頃の年2回。生まれて1年で殻長8cmくらいになり、3~4年かけて12~15cm程度の大きさになったものが漁獲され市場に流通する。

食材情報

寿司種に使われるのは「みる」と呼ばれる水管の部分。軽く湯通しすると硬い皮がむける。みる下、柱などはバター焼きや煮つけ、ちらし寿司の具などにされる。甘みと芳醇な旨み、コリコリした歯触りが魅力で、最高級の貝のひとつだが、近年では漁獲量が減り、大きなものでは1個で1000~3000円もするほどの高級食材。現在流通しているミルクイの多くが中国や韓国産であり、また別種のナミガイが通称「白ミル」と呼ばれ代替品として出回っている。代替品とはいえ、これも美味な貝である。

ミルクイの産卵期は3月頃と10月の年2回あるとされ、産卵直前まで美味であることから1~3月頃、9~10月頃が旬とされる。アカガイやアオヤギは卵の成長に伴い身がやせていき、卵と肝の食用は危険だが、ミルクイはトリガイ同様、卵の成長と同時に水管が太り、甘みを増していく。また旬の到来と共に、卵を包含する肝野部分が肥大し、この部位も非常に美味で、「ミル舌」と呼ばれて珍重される。まさに産卵直前に旨さが最盛期を迎える貝である。ミルクイは産地によって漁期が異なり、味も微妙に違いがある。

・千葉県富津
かつては貝類の宝庫であった東京湾の貝類のほとんどが1950年代後半以降に漁獲量が激減し、ミルクイもまたほぼ全滅かと思われた。しかし1990年代頃から再び良質のミルクイがとれるようになり、水管が厚く太り、味も歯ごたえも一級品として高値をつけている。漁期の制限は特に設けられていないが、トリガイの漁期と基本的に重なる。

・愛知県三河湾/渥美半島伊良湖
三河湾、伊良湖産のミルクイは、江戸前のものに匹敵する品質として、東京の寿司屋で非常に高く評価され、高値をつけている。漁期の制限は設けられていないが、漁獲量が激減しているため、近年では、瀬戸内海や韓国などほかの産地の出荷量が落ちる5~7月の3ヶ月間に集中して漁獲し出荷されている。

・三重重県伊勢/小浜
漁期は冬。漁獲量が激減している。

・瀬戸内海
漁期は冬。兵庫県明石、岡山県倉敷・下津井のものが有名だが、漁獲量は激減している。山口県宇部のものはやや安い。

・大分県国東半島・国見
漁期は冬。九州方面で消費される。

韓国からの輸入は一年中入荷しているが、夏場は輸送中に鮮度が落ちるため、入荷量が減少し、10月頃から増加する。値段は安く、渥美半島伊良湖産地のものの半値ぐらいで取引される。市場価格は、国内産のものでキロ当たり3000~5000円程度。歩留まりを考えると、アワビよりも高級な貝である。

ミルクイを選ぶときには、水管が大きくて厚いものを選ぶ。

貝類の中では高たんぱく質でエネルギーも高め。カリウムと鉄がやや多めに含まれている。

漁獲法

潜水漁で漁獲される。