ナス科トウガラシ属
唐辛子、Chili pepper
主産地:東京、大分、北海道、山形
旬時期:青トウガラシ(7月~9月)、赤トウガラシ(8月~10月)

トウガラシ

基本情報

メキシコが原産とされ、最古の栽培型はメキシコ中部で紀元前6500〜5000年頃と推定されるものが出土している。2000年以上前にはアメリカ各地で栽培されていたとされ、1493年にコロンブスがスペインに持ち帰ったことによってヨーロッパに渡来し、世界中に広がった。日本には、1592年、豊臣秀吉の朝鮮出兵の折に種が渡来したとする説と、1542年にポルトガル人がタバコと共に伝えたとする説がある。文献に登場したのは「清良紀 親民鑑月集」(1628年)が最も古く「唐苛(トウガラシ)」の記載がある。

名称の由来

「唐から伝わった辛子」の意味。この場合の「唐」は中国ではなく、漠然と外国を指す。

特徴

一年草。分類上はピーマンなどと同種のナス科トウガラシ属。辛味成分はカプサイシンという成分で、種子のつく胎座に最も多く含まれる。トウガラシには青トウガラシと赤トウガラシがあるが、未熟なものが青トウガラシ、熟したものが赤トウガラシとなる。

食材情報

スパイスの中では最も多量に栽培され、世界中で消費されている。辛さや大きさ、色などの種類は多岐に亘る。

品種

辛み種と呼ばれる辛味の強い品種と、甘み種と呼ばれる辛味のないタイプがある。甘み種としてはシシトウガラシがお馴染み。伏見トウガラシや万願寺トウガラシなどもこの系統。ここでは香辛料として使われるトウガラシを記載する。

・鷹の爪
国内で香辛料として利用される代表的なトウガラシ。長さ6cm前後で、形状が鷹の鉤爪に似ることからこの名称がついた。熟すと鮮やかな赤色になる。乾燥させた実をそのまま、あるいは輪切りや粉末にして香辛料として使う。

・本鷹
大型の唐辛子で、香川県・丸亀沖で活躍した塩飽水軍が朝鮮出兵の際に豊臣秀吉から拝領したと伝えられる香川本鷹が有名。長さ7~8cm程度。安価な輸入品に押され、1970年には途絶えたとされていたが、近年になって種子が発見され、栽培が再開されている。

・八房(やつふさ)
果実が上向きに房になって付くことからこの名称がついた。

・三鷹(さんたか)
本鷹と八房を交配させて生まれたトウガラシ。かつては愛知県で多く作られていたが、現在は栃木県で主に栽培されている。

・熊鷹
長さ4~8cm程で細長く、果実は深紅色。日本の唐辛子の中では最も辛いといわれる品種。

・ハバネロ
メキシコ原産のトウガラシ。世界で最も辛いといわれる。スナック菓子などにもなっている。

・ハラペーニョ
メキシコ原産のトウガラシ。長さは4cm前後で果皮に光沢があり、強い辛味がある。肉厚でフルーティな香りがあり、タバスコやサルサソースの材料に利用される。ハバネロや鷹の爪に比べると辛さは穏やかで、メキシコではピクルスとしても食べられている。

・プリッキーヌ
タイ原産のトウガラシ。小さいが強烈な辛さを持つ。

・アヒ・チーノ
ペルー原産のトウガラシ。炒め物、スープや煮込み料理に利用される。

・韓国トウガラシ
キムチやチゲに利用される。

・島トウガラシ
沖縄県や鹿児島県などで栽培されている小型のトウガラシ。長さ2〜3cmほどと小さく、辛味が強い。泡盛に浸け込んだ「コーレーグース」は沖縄料理に欠かせない調味料。

主産地

2010年の全国生産量ランキングは以下の通り。

東京都    79トン
大分県    47トン
北海道    34トン
山形県    18トン 
栃木県    16トン
千葉県    16トン
宮崎県    13トン
奈良県    12トン 
岡山県    8トン
兵庫県    8トン

栄養

ビタミンCやカロテンが豊富だが、一度にわずかしか消費できないため、栄養源としては期待できない。辛味成分のカプサイシンは、脳の中枢神経を刺激しエネルギー代謝を促進し、末梢血管を拡張させて血液量を増やし、体を温める作用があるとされる。

選び方

色つやがよくハリがあり、色が鮮やかなもの、ヘタがピンとしたものを選ぶ。切り口やヘタが黒ずんだものは、鮮度が悪く、香りも落ちる。