十脚目アカザエビ科アカザエビ属
藜海老、赤座海老、Japanese lobster
生息域:千葉県銚子沖から日向灘
旬時期:9月~6月
調理法:刺身、塩焼き、塩茹で、干物、味噌汁

アカザエビ

基本情報

姿形が美しく、甘くねっとりした濃厚な旨みを持ち、イセエビと並んで最も高価に取引される高級エビ。イタリア料理でスキャンピ、フランス料理でラングスティーヌと呼ばれるヨーロッパアカザエビは本種の近縁種。長く大きなハサミがトレードマークで、レストランなどではテナガエビと表記されることが多いが、標準和名のテナガエビは別種。

名前の由来

体の色合いが植物の藜(アカザ)の若葉にある赤い模様に似ていることに由来する。長いハサミを持っていることからテナガエビと呼ばれることがあるが、標準和名テナガエビは別種である。イタリア料理でスキャンピ、フランス料理でラングスティーヌと呼ばれるヨーロッパアカザエビは本種の近縁種である。

特徴

全長25cm程度。全身が硬い殻に覆われ、腹部の背面に複雑な浮き彫り模様がある。複眼は黒い球形で、額角と複眼の横に鋭い棘がある。三対のハサミを持つが、第一対のハサミが大きく、その長さは体長にほぼ等しい。体色は橙色で、植物のアカザを連想させるためにアカザエビの名前がついた。千葉県沖から日向灘にかけての太平洋沿岸域に分布し、水深200~400m程度の砂泥底に生息する。日本近海だけに分布する固有種であることからJapanese lobsterの英名を持つ。繁殖期は秋。交尾後に雌は直径2mm程度の卵を400~1500個ほど抱卵する。孵化したアカザエビは成体と同じ体をしている。

食材情報

殻が硬く棘が多いが、身肉は透き通って柔らかく、甘みがあって美味。姿形が美しいこともあり、エビの中でも高値で取引される。鮮度が良いものは刺身や寿司種にして良い。傷みが早いため、かつて刺身は産地でしか食べられなかったが、現在は都市部でも食べられる。産地では塩焼きや塩茹で、またトレードマークであるハサミが取れてしまったものなどを使って干物にも加工される。良い出汁が出るので、産地では味噌汁にすることもある。イタリア料理でスキャンピ、フランス料理でラングスティーヌと呼ばれるヨーロッパアカザエビは本種の近縁種だが、日本国内では本州が使われることが多い。レストランなどではテナガエビと表記されることが多いが、標準和名のテナガエビは汽水・淡水生の別種である。

市場での評価

駿河湾、相模湾、東京湾、千葉県外房沖、熊野灘などから、活けの状態などで入荷する。活けのアカザエビは、エビの中で最も高値がつく。野締めでも高価。底のものでキロあたり輸入物は6000~7000円。大きなものほど高価に取引される。資源管理がされているため、小型のものはあまり入荷しない。

大きさによって以下ランクに分類される。(いずれもキロあたりの匹数)
G1 10尾未満
G2 10~15尾
G3 16~20
G1 21~30
G5 30尾以上

漁獲法

冬から春にかけて、刺し網や底曳き網、カゴ漁などで漁獲される。カゴ漁や刺し網のものが値が高く、活けの状態で出荷されることが多い。カゴ漁は神奈川県長井、刺し網は千葉県富津や神奈川県三浦が多い。駿河湾、遠州灘、舞阪、三河湾、土佐湾などでは底引き網で獲る。トレードマークの長いハサミが取れやすく、ハサミが取れたものは極端に値が下がるため、地元で干物などに加工されることが多い。近縁種であるサガミアカザエビとは区別されずに流通している。静岡県などで養殖の研究が進められているが、実用化には至っていない。