バカガイ科バカガイ亜科ウバガイ属
北寄貝、Spisula sachalinensis
生息域:北海道南部から土佐湾。太平洋側のみで、日本海にはいない。
旬時期:10月~5月
調理法:刺身、寿司種、塩焼き

ホッキガイ

基本情報

薄い紫褐色の身は、湯通しするといちだんと美しい淡紅色になる。熱を通すことで甘みと旨みが増し、磯の香りと歯ごたえがあって美味な貝。湯通ししたものが寿司種に使われるほか、バター焼きや天ぷら、ぬたなどにして美味。標準和名はウバガイだが、市場や飲食店ではホッキガイの名称の方が一般的。北海道や福島県では、ウバガイの身を炊き込んだ炊き込みご飯や、肉の代わりに身を具に使うホッキカレーが地域色のひとつになっている。

名前の由来

ウバガイ(姥貝)の名称は、長生きであることに由来するとする説、殻皮を老女の髪に見立てたことに由来する説がある。強い北風が吹くと海岸に打ち上げられることから、ホッキガイ(北寄貝)とも呼ばれ、市場などではこちらの名称の方が一般的である。別名にドンブリガイなどがある。

特徴

殻長10cm、殻高8cm前後になる。殻が厚く殻自体は淡色だが、褐色の殻皮に覆われているため黒ずんだ色に見える。鹿島灘以北の東北から北海道に分布し、外洋の比較的浅い水深の砂底に生息する。成長が遅く、殻長7~8cmになるのに5~10年かかり、10cmになるまでに20年かかるといわれる。産卵期は6月頃。

食材情報

身は薄い紫褐色で、湯通しする鮮やかな紅色になる。産地では生食で刺身にすることもあるが、熱を通すことで甘みと旨みが増す。ややクセのある味ながら、潮の香りが強く、身、貝柱ともに甘みと旨みあり、歯ごたえも良い。寿司種に使われるほか、バター焼きや天ぷら、酢の物、ぬたなどにして美味。貝柱や干物はかき揚げにしても良い。北海道や東北地方の太平洋側では、「ホッキ飯」として炊き込みご飯の具として利用される。JR室蘭本線母恋駅で販売されている駅弁「母恋(ぼこい)めし」は、ウバガイの炊き込みご飯のおにぎりが入っている。なお母恋という地名は、アイヌ語で「ホッキ貝がたくさんある場所」という意味を持つ「ポクセイ・オ・イ」が語源となっている。北海道苫小牧市や福島県では、肉の代わりにウバガイを使った「ホッキカレー」が地域食の一つになっている。ワタを取り除く時、胃から晶体という消化酵素をつくりだす寒天状の物質が出てくる。この部分を俗に「ホッキの骨」と呼ぶことがある。水煮缶や干物にも加工され、貝柱はホタテガイと共に干し貝柱の原料にされる。西日本ではあまり食べられない。北斗市ではウバガイのゆるキャラ「ずーしーほっきー」がいる。貝類の中では脂肪を多く含む。ビタミンB12を豊富に含有する。ミネラルでは鉄がやや多い。

市場での評価

年間を通じて入荷量の多い貝。北海道産は殻が厚く重さがあって値段も高いが、福島や常磐のものは安く手に入れやすい。150~200g、200~250g、250g以上の大きさに分類されて売られていることが多い。小さいものでキロあたり600円程度、大きいもので1200円程度。時化の時などは倍近い値段をつけることもある。カナダなどから冷凍品の輸入もされており、回転寿司屋などで使用される。

漁獲法

主にけた網漁で漁獲される。海底の砂に潜る習性があるため、ジェット水流で海底を掘り起こしながら漁獲することが多い。海上から柄のついた叉金で一個ずつはさんで引き揚げる漁法も行われており、傷がつきにくいために高価で取引される。北海道苫小牧市での漁獲高が日本一多いため、苫小牧市の貝に指定されている。北海道天塩郡豊富町や茨城県東茨城郡大洗町ではホッキ祭りが行われている。

2008年度の国内の主要なウバガイ陸揚げ港は以下の通りである。

第1位 苫小牧漁港 825t (北海道)
第2位 別海漁港 549t (北海道)
第3位 三沢漁港 489t (青森県)
第4位 根室漁港 460t (北海道)
第5位 釧路漁港 324t (北海道)
(苫小牧市産業経済部調べ)