スズキ目サバ亜目サバ科マグロ属
黄肌鮪、黄鰭鮪、Yellowfin tuna
生息域:全世界の熱帯・温帯海域(日本海・地中海を除く)
旬時期:3月~6月
調理法:刺身、寿司種、ムニエル、フライ、カルパッチョ

キハダマグロ

基本情報

クロマグロやミナミマグロに比べて脂の少ないキハダマグロは、身肉が鮮やかな桃白色で、あっさりした旨みを持つ。上品な味わいで、特に関西で人気が高い。国内ではマグロ属の中でメバチマグロに次いで漁獲量が多く、比較的安価に流通している。ツナ缶の原材料にもなる。

名前の由来

第2背びれと尻びれが鮮やかな黄色で、体色も黄色を帯びていることから、キハダと呼ばれる。別名にアカシビ、イトシビ、ウキンシビ、オオイトシビ、キハタ、キヒレ、キワダ、キンヒレ、ゲスナガ、コイト、シビ、バシ、バシビ、ハンバツ、ヒレナガ、ビンキリ、ビンナガ、ホンシビ、ホンハツ、マグロ、マシビ、ヨコワなどがある。若魚は各地でキメジとも呼ばれる。

特徴

全長1.5~2m程度。マグロ属の中では、ミナミマグロ、メバチと並ぶ中型種。胸びれが長く、先端は第2背びれの起部をゆうに超える。体型は紡錘形でやや細長く、体色やひれが黄色を帯びている。幼魚期から若魚期にかけてはキハダとメバチは外形が酷似しているが、キハダの小離鰭は高さの低い三角形状で黄色いことから区別できる。またキハダは成魚になると第2背びれと尻びれが伸張し、鮮やかな黄金色になる。

全世界の熱帯・亜熱帯海域に広く分布するが、日本海・地中海には分布しない。日本沿岸では伊豆諸島以南の太平洋側に多い。水温18~30度の外洋の表層を群れて遊泳し、日本近海では季節的な南北の回遊を行う。流木などの漂流物につく習性もある。産卵期は熱帯海域で通年行われるが、最盛期は夏で、分離浮性卵を産卵する。1年で体長50cm、2年で1m前後に成長する。肉食性で甲殻類、魚類、頭足類を捕食する。

食材情報

身肉は鮮やかな桃白色で、あっさりした旨みを持ち、特に関西で刺身や寿司種として人気が高い。赤みは弱いが色持ちが良く、尾に近い部分までほぼ均一の赤身で、身が崩れにくく刺身につくりやすい。「地脂がある」と言われるように、赤身とトロの明確な境目がなく、いわゆるトロの部分はない。クロマグロやミナミマグロに比べて脂が少ないので、オイルやバターと相性が良く、ムニエルやフライ、カルパッチョ、オイル漬けなどに料理される。マグロ属の中では資源量が多く、世界で年間約130万トンが漁獲されるので、安価なマグロとして流通している。国内で消費されるマグロの30%以上を占め、メバチマグロに次いで多い。魚のほか、缶詰などの加工品にも利用される。海外ではライトミールとしての利用が多い。ツナ缶の原材料は主にキハダマグロ、ビンナガマグロが使われる。旬は夏。ハワイではアヒと呼ばれる。

触って硬くなく、張りのあるものを選ぶ。切り身を求める場合は、赤身のうっすらした赤の中に脂分の白い濁りのあるものが良い。赤身部分が多いため、鉄分やカルシウムを豊富に含有する。ほかのマグロに比べると脂質が少ないが、腹側の脂肪分には不飽和脂肪酸であるDHA、EPAが多く含まれている。

市場での評価

西日本での流通が多く、関東ではあまり見かけない。キロあたり600~1500円程度で、冷凍ブロックのものはキロ当たり1000~2000円程度。マグロ類の中では求めやすい価格。ほかのマグロに比べて水深の浅いところに生息するため、釣り上げるときに血栓ができづらく、血栓ができづらいので、価格のブレが少ない。鮮魚はやや高い。

冷凍品はビンナガマグロと同様、凍結方法によって以下ランクに分類される。

(1)B1凍結(ブライン凍結1級品の略)
マイナス20℃前後のブライン溶液を循環させ、生きたまま急速凍結させるもの

(2)PS凍結
巻き網で漁獲されたものをブライン溶液で凍結させたもの

(3)クリッパー
延縄船による船内凍結

(4)C
状態の良くないもの

漁獲法

延縄、巻き網などの遠洋漁業で漁獲される。水揚げ量が多いのは静岡県、宮崎県、宮城県、鹿児島県で、生鮮では和歌山県那智勝浦港、鹿児島県鹿児島港、沖縄県那覇港、宮城県塩竃港、静岡県沼津港。冷凍では静岡県焼津港、神奈川県三崎港、鹿児島県山川港、宮城県石巻港となる。全世界のマグロ漁獲量は年間約200万トン前後で、このうち約100~140万トンがキハダであり、マグロ類の中では最も漁獲量が多い。ほかのマグロと同様、乱獲で個体数が減少しているが、成長が早いこともあり、ほかのマグロよりも資源量が多い。