セリ科ニンジン属
人参、Carrot
主産地:北海道、千葉、徳島
旬時期:4月~7月、11月~12月

ニンジン

基本情報

原産地はアフガニスタン。トルコを経てヨーロッパに伝わった西洋系、アジア東方に伝わった東洋系の二種類に分類できる。西洋系は15世紀頃までにヨーロッパに広まり、オランダやフランスで品種改良が行われた。東洋系は10世紀頃にはすでに中国に伝わっていたとされる。日本には、江戸時代に中国から東洋種が伝来し、全国に広まった。江戸時代の農書に「菜園に欠くべからず」の記載が残っている。江戸時代後期には西洋系品種が伝わり、明治時代に入ると欧米系品種が次々と導入された。現在では西洋系が主流になっている。

名称の由来

中国や朝鮮半島、日本で古くから薬用とされていたオタネニンジン(朝鮮ニンジン)が、枝分かれした根の形が人の姿を思わせることからニンジン(人参)の名前がついた。セリ科のニンジンは別種で、当初はセリニンジンと呼ばれたが、現在ではセリ科のニンジンが主流となったため、単にニンジンと呼ばれている。

特徴

くせのある香りが特徴で、ショ糖を多く含むため、独特の甘味がある。加熱すると甘味が増す。東洋系品種の方が西洋系よりも肉質が締まり、ニンジン特有の香りが強い。現在流通しているニンジンのほとんどは西洋系品種で、市場に流通する東洋系品種は金時(京ニンジン)などごくわずかである。西洋系ニンジンには、三寸群、五寸群などがあるが、現在は五寸群のものが中心になっている。

食材情報

サラダなどの生食はもちろん、カレーやシチューなどの煮込み料理にも欠かせない。カロテンを大量に含む代表的な緑黄色野菜。。主に根の部分を食用にするが、葉の部分をおひたしなどに利用することもある。皮の近くにカロテンが含まれているので、調理のときは皮をできるだけ薄くむくと良い。

品種

・五寸ニンジン
長さ15〜20cm程度のニンジン。現在市場に流通しているニンジンの大半を占める。くせがなく、サラダや煮物、炒め物、揚げ物など様々な調理に向く。

・金時
京ニンジンともいわれる東洋系品種。お正月のおせち料理用に出回る。鮮やかな赤い色と強い甘味が特徴で、煮物のほか、なますや炒め物、煮物、揚げ物に向く。赤い色素はカロテンではなくリコピン。

・金美
中国系ニンジンを掛け合わせた黄色い品種。長さ20cm程度で、クセがなく肉質は柔らかい。生食も可能。

・ミニにんじん
ベビーキャロットともいわれる10cm程度の小型種。肉質が柔らかく、青臭さが少なく甘味が強い。切らずにサラダやつけあわせ、バーニャカウダなどに利用される。

・島ニンジン
沖縄県の在来品種。細長く黄色いニンジン。冬季のみ出回る。

・紫ニンジン
表皮は紫色で芯はオレンジ色のニンジン。カロテンのほか、アントシアニンを含む。

・パリジャンキャロット
直径3〜4cm程度の丸い西洋系品種。西洋料理のつけあわせに利用される。

主産地

2013年の全国生産量ランキングは以下の通り。

北海道    173,200トン
千葉県    110,700トン
徳島県    52,700トン
青森県    40,300トン
長崎県    31,800トン
茨城県    30,000トン
宮崎県    22,100トン
愛知県    21,200トン
埼玉県    20,800トン
鹿児島県 19,600トン

栄養

ビタミン類やミネラル類を豊富に含んでいるが、特筆すべきはカロテンの含有量。カロテンは体内でビタミンAに変化し、目や皮膚を丈夫にしたり、粘膜の機能を高めて抵抗力を高める効果があるとされる。抗酸化作用が強く、抗ガン作用も期待される。ビタミンAに変換されない残りのカロテンは、体内で強力な抗酸化作用を発揮し、活性酸素の除去や免疫機能の増強に作用する。一般的にビタミンAの過剰摂取は吐き気や下痢といった過剰症を招くことがあるが、カロテンは必要量だけビタミンAに変化することから、過剰摂取のおそれがない。ニンジンの葉は、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンKなどを多く含有する。ただ農薬が使われていることがあるので、食べる際には十分に水洗いすることが望ましい。ニンジンには、アスコルビナーゼというビタミンCを破壊する酵素が含まれるというのが通説だったが、この酵素はビタミンCを酸化するだけで、参加されたビタミンCは体内で再び還元され、酸化する前のビタミンCとほぼ同様の働きをすることがわかっている。現在ではアスコルビナーゼという名称は使われていない。

選び方

皮がなめらかで形が良いものを選ぶ。色は濃いほどカロテンが豊富に含まれている。