キク科アキノノゲシ属
萵苣、Lettuce
主産地:長野、茨城、群馬
旬時期:4月~9月

レタス

基本情報

野生種は地中海沿岸から西アジアにかけて分布していたとされ、紀元前6世紀よりアケメネス朝ペルシアで栽培が始まった。その後、ヨーロッパ各地に広がるにつれ品種改良が重ねられ、16世紀には地中海沿岸を中心に、結球レタス、リーフレタス、コスレタス、茎レタスなど多様な種類のレタスが栽培されるようになった。日本には中国を経由して「ちしゃ」として伝来し、奈良時代から食べられてきたが、現在親しまれているレタスとは異なり、結球していない「掻きちしゃ」というものだった。現在出回っているような結球したレタスが入ってきたのは、江戸時代末期から明治時代とされる。

名称の由来

英名のLettuceはラテン語の「Lactuca」が語源で、Lac は乳を意味する。切ると茎から白い液が出ることに由来する。和名の「ちしゃ」は「乳草」が語源で、同様に茎から出る白い液を乳になぞらえたものである。

特徴

レタスは玉レタス、葉レタス、立ちレタス、茎レタスの4つの品種群に分類される。玉レタスはバターヘッド型と呼ばれるサラダ菜、クリスプヘッド型と呼ばれる結球するタイプに分けられる。葉レタスはサニーレタスやリーフレタスの仲間。立ちレタスは緩く結球するタイプで、ロメインレタスなどがこれにあたる。茎レタスは掻きぢしゃともいわれ、茎が長く伸び、下の葉から摘み取って利用するもので、日本では古くから栽培されていた。レタスの茎を着ると出てくる白い乳状の液はサポニン様物質。苦味があるが、食欲を増進し、肝臓や腎臓の機能を強化する働きがある。

食材情報

一般的に普及している玉レタスのほかにも、結球しないタイプのものや茎を食用にするものなど様々な品種がある。サラダの主役ともいえる野菜で、シャキシャキした歯触りは生食に向くが、スープや炒め物、煮物にも利用される。全体の約95%が水分で、葉が傷つきやすいデリケートな野菜。金気を嫌い、刃物で切ると切り口が茶色くなるので、手でちぎって調理する。

品種

・玉レタス
和名は玉ぢしゃ。もっとも多く出回っている種類で、日本では、レタスといえばこの玉レタスを指す。パリッとした歯触りから、クリスプレタスとも呼ばれる。

・サニーレタス
結球しない葉レタスの内、葉先が赤紫色で葉の表面が縮れたレタスの総称。品種名ではない。淡白な味わいで柔らかな葉が魅力。

・サラダ菜
巻きが緩く、先端が開いた結球性のレタス。葉は濃い緑色で、厚みがあり柔らかい。歯触りはしんなりしている。

・リーフレタス
和名は葉ぢしゃ。結球しないタイプのレタス。

・ロメインレタス
和名は立ちぢしゃ。緩く結球したレタスで、葉は長楕円形で先端が尖っている。エーゲ海コス島の原産で、コスレタスともいう。シーザーサラダの材料として有名。

・グリーンカール
葉レタスの一種。韓国料理で焼肉を巻くサンチュのかわりに利用されることがある。

・マロンレタス
サニーレタスとサラダ菜の交配種。葉の形はサラダ菜と同じで、葉先の赤紫色や縮み方はサニーレタスに近い。

・プリーツレタス
葉レタスの一種。葉に細かいひだがたくさんある。葉が薄く、柔らかな歯触り。

・バターレタス
ミニレタスともいう。玉レタスを改良して小さめに結球した品種。外皮は柔らかいが、歯触りは玉レタスに近い。

・ピンクロッサ
エンダイブとサニーレタスの交配種。葉先は細かく縮れ、赤褐色を帯びている。

・掻きぢしゃ
生育する葉を下から掻きとって利用する。日本で江戸時代以前に栽培されていた品種。韓国料理で焼肉を包んで食べるサンチュはこの仲間。

・ステムレタス
長く伸びた茎を食用にする。ちしゃとう、茎ぢしゃ、アスパラガスレタスともいう。薄く切って生食するほか、炒め物や煮物にも使われる。乾燥させたものは山クラゲと呼ばれる。

主産地

一年を通じて全国でリレー生産されているレタス。気温20度前後で最もよく育つので、季節ごとに産地が変わる。夏は高冷地の長野、冬は香川、春と秋は茨城から多く出荷されている。

2012年の全国生産量ランキングは以下の通り。

長野県    194,600トン
茨城県    85,900トン
群馬県    54,800トン
兵庫県    30,900トン
長崎県    27,400トン
香川県    21,400トン
静岡県    20,000トン
福岡県    18,300トン
熊本県    15,100トン
北海道    14,500トン

栄養

葉レタスと玉レタスの栄養分には大きな違いがある。葉レタスは緑黄色野菜で、カロテンやビタミンC、ビタミンE、カリウム、カルシウムや鉄などのミネラル類を多く含む。玉レタスは淡色野菜で、各栄養成分は、葉レタスの方が玉レタスよりも2倍から10倍も多く含む。乳状のサポニン様物質には、ラクツカリウムが含まれており、鎮静、催眠効果があるといわれる。

選び方

玉レタスの場合には、葉にハリがありみずみずしく、巻きの緩やかなものを選ぶ。