キンメダイ目キンメダイ科
金目鯛、Splendid alfonsino
生息域:北海道以南
旬時期:1月~2月
調理法:煮つけ、鍋物、刺身、味噌漬け、粕漬け、干物

キンメダイ

基本情報

白身魚ながら脂がよく乗っており、トロリとした舌触りと濃厚な旨みが魅力。刺身にすると、口の中でとろけるような甘みが絶品。煮つけにすると、甘みのある脂が煮汁に溶け出して、魚の旨みと合わさって美味。身はほっくりとして柔らかく、小骨が少ないので子供や老人にも食べやすい。伊豆稲取の「地キンメ」が有名。朱色の体色が美しいことから、マダイの代わり祝儀魚に使用されることがあるが、タイとは別種の魚である。

名前の由来

目が金色に輝くことに由来する。鯛の名前がついているが、マダイやクロダイなどのスズキ目タイ科とは種類が異なる。

特徴

全長40~60cm程度。体色は鮮やかな朱色で、鱗は黄金色の光沢がある。尾びれが大きく、深く二叉する。背びれの軟条数は通常14。若魚は背びれ前部の軟条が糸状に伸びることからイトヒキキンメと呼ばれる。世界各地の水深100~800mの深海に生息する。国内では北海道釧路沖以南の大平洋側で漁獲される。深海に生息するため、眼が著しく大きく、少ない光量を有効に使うため、網膜に反射層を持つため、光を当てると眼が金色に光る。若魚は沿岸の水深100~250m付近に生息し、成長とともに沖合の深海に移動する。夜間に海底から浮上し、棚付近で魚類や甲殻類、頭足類を捕食する。寿命は14年以上といわれる。

食材情報

脂質に富み、トロリとした舌触りと濃厚な旨みが魅力。刺身にすると身に脂が均等に含まれ、口の中でとろけるような甘みと旨みが広がる。煮魚にすると、甘みのある脂が煮汁に溶け出して、魚の旨みと合わさって何ともいえない美味。身はほっくりとして柔らかく、小骨が少なく骨離れが良いので、子供や老人にも食べやすい。頭はかぶと煮にする。目玉のまわりの身肉の旨さはマダイに匹敵する。しゃぶしゃぶにしても美味。関東では伊豆の「地キンメ」が有名。伊豆稲取は漁獲高日本一として知られ、キンメダイの刺し身や煮つけは観光客向けの名物になっている。艶やかな朱色の体色が美しいことから、マダイの代わりに尾頭付きの祝儀魚に使用されることがある。旬は冬だが、年間を通じて脂が乗っているため、通年流通している。

鯛の鯛(鯛の肩甲骨と烏口骨で鯛のように見えるもの)と同じように、キンメダイの「キンメダイ」と呼ばれる骨の部位があり、縁起物とされる。体色が鮮やかな赤色のもの、眼が透き通って澄んだものが新鮮。鮮度が落ちるにつれて、体色がくすんだ赤に退色し、眼がくぼみ、腹部の鱗が落ちてくる。

たんぱく質と脂質が豊富で、水分が少ない白身魚。脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ミネラルではカリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄などを豊富に含有する。脂肪含有量が多いことから、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸も多量に含まれている。体内に微量の水銀が含まれており、厚生労働省によって、妊婦が摂食量を注意すべき魚介類のひとつに指定されている。2005年の発表では、1回に食べる量を約80gとした場合、キンメダイの摂食は週に1回までが目安とされている。

ブランド

・稲取キンメ
静岡県東伊豆町の伊豆漁協稲取支所が商標登録しているもの。立縄釣りで日戻り操業し、 水氷で運ばれたキンメダイを、水揚げ後すぐに漁協職員が選別して、水氷と共に発泡スチロール箱に箱詰めして出荷する。

・銚子つりきんめ
千葉県銚子市の銚子市漁協が商標登録しているもの。親潮と黒潮がぶつかる銚子沖で漁獲されたキンメダイを1尾ずつ丁寧に釣り上げている。

・土佐沖どれ金目鯛
高知産のキンメダイは、未明に漁を始め、その日に水揚げする「日戻り」が特徴。鮮度の良さを売りに、高知県漁協がブランド化を進めている。

市場での評価

年間を通じて入荷され、高値安定している。1kg以内の小ぶりのものが美味とされる。高知県、静岡県、神奈川県、千葉県銚子などから入荷するほか、アメリカやチリ、モーリシャスなどからの冷凍輸入ものも多い。キロあたり1500~4000円程度。伊豆稲取のものは高価で2500~4000円程度。近縁種のヒラキンメ(ナンヨウキンメ)が混じって漁獲されることがあり、半値程度で取引される。小さなものでも姿造り、姿煮にするため値が下がりにくい。500g程度のものをコキンメと呼ぶ。頭部だけを集めたものもキロあたり100~200円程度で市場で売られており、よく出汁が出る。

漁獲法

一本釣り、延縄、曳き網などで主に漁獲される。