コウイカ目コウイカ科コウイカ属
墨烏賊、Cuttlefish
生息域:房総半島以南
旬時期:12月~3月
調理法:刺身、寿司種、天ぷら、干物、イカスミスパゲティ

スミイカ

基本情報

関東ではスミイカの名前で呼ばれ、江戸前の寿司や天ぷらに欠かせない食材である。7月頃からコウイカの子である新イカが出回る。江戸前の寿司ネタとして人気が高く、寿司屋がこぞって求め、走りの時期にはキロあたり20000円前後をつける高級品である。晩秋から初秋にかけて、親イカが旬を迎える。新イカが歯ごたえの良さが魅力であるのに対して、親イカはたおやかな歯触り、ねっとりとした甘みと旨みが魅力で、刺身はもちろん、天ぷらにしても非常に美味である。

名前の由来

外套膜内部の背側に舟形をした石灰質の甲を持つことに由来する。別名ハリイカで、これは甲の後端に針状の突起があることに由来する。関東ではスミイカ(墨烏賊)と呼ばれる。またマイカ(真烏賊)とも呼ぶ地域も多い。黒褐色を表すセピア(sepia)の語源はコウイカの墨に由来する。

特徴

胴長15cm程度。背側に横縞があり、特に雌は明瞭。腹側は白い。外套膜をエンペラと呼ばれるひれが縁取っている。獲物を捕らえるための長い触腕は、目の下の穴に収納することができる。東シナ海、南シナ海、国内では房総半島以南に分布し、水深10mから100mの砂底近くに生息する。2~4月頃、内湾で生殖活動を行う。雄は体を光らせながら雌を誘い、雌は交接後、数分から数時間後に産卵する。卵は卵嚢に包まれており、卵嚢は縦1.5~2cm、横1.2cm程度。海藻や流木などに数百粒産みつけ、約1ヶ月後に孵化する。孵化した子イカは浅場で成長する。寿命は1年で、孵化したコウイカは春に成熟し産卵期を迎え、産卵後に死ぬ。

食材情報

関東ではスミイカと呼ばれ、江戸前の寿司や天ぷらに欠かせない食材である。夏から秋にかけて、コウイカの子である新イカが出回る。胴長5cmくらいの大きさで、かつては東京湾で秋の風物詩であったが、近年では毎年7月頃、鹿児島県出水から築地市場に入荷する。特に江戸前寿司では、新イカの握りは夏の風物詩として珍重され、寿司屋はこぞって初物を求める。走りの時期にはキロあたり20000円前後をつける高級品である。新イカの中でも大きなものは一貫づけ、小ぶりなものは二貫づけとなる。新イカの魅力は歯ごたえの良さである。たおやかな中にシコッとした軽快な噛みごたえがある。晩秋から春先にかけて、親イカが旬を迎える。身が厚く、甘みが強い。刺身はもちろん、天ぷらにしても甘みがあり柔らかく非常に美味。産地である山口県祝島ではコウイカの燻製や塩辛がつくられる。各地で干物がつくられ、これも絶品である。イカスミはスパゲティやリゾットにも使われる。

関東では墨にまみれた状態で出荷され、関西では墨を洗い落として出荷される。墨の中で出荷されたものについては、この墨が黒くて粘液質なものを選ぶとよい。

良質なタンパク質に富む。グリシン、アラニン、プロリンなどのアミノ酸を多く含み、イカの甘みを構成する。イカのたんぱく質は非常に消化吸収が良く、けがの回復期にある患者などにも勧められるのはこのためである。またコレステロールを排泄する胆汁酸の分泌、肝臓の解毒作用を促進するとされるタウリンを豊富に含有する。イカスミには防腐効果がある。

漁獲法

刺し網やカゴ漁、底曳網などで主に漁獲される。主な生産地は瀬戸内海沿岸、三河湾、九州。遊漁も人気で、東京湾などで盛んに行われている。