オオバフンウニ科
蝦夷馬糞海胆、Short-spined sea urchin
生息域:福島県以北(太平洋側)山形県以北(日本海側)
旬時期:11月~9月
調理法:生ウニ、焼きウニ、蒸しウニ

エゾバフンウニ

基本情報

世界で800種以上、日本で100種を超えるウニが生息するが、築地市場に入荷し、東京で賞味されるウニは主にエゾバフンウニ、キタムラサキウニの二種類。淡い色合いで「白ウニ」と呼ばれるキタムラサキウニに対して、エゾバフンウニは可食部の精巣の色が鮮やかで「赤ウニ」と呼ばれ、甘み旨みが濃厚で後味が強いことが特長。イタリア料理やフランス料理店でよく利用され、関西地方ではエゾバフンウニなどの赤ウニがポピュラー。

名前の由来

まんじゅう状の殻の形状が馬糞に似ていることからバフンウニ。この内、北方で獲れるものエゾバフンウニと呼ぶ。北海道では「ガンゼ」とも呼ばれる。

特徴

殻直径5cm前後、棘の長さ1cm弱。キタムラサキウニに比べて棘が短く褐色、大型である。可食部となる生殖巣は濃いオレンジ色で、キタムラサキウニなどが白と呼ばれるのに対して、赤と呼ばれる。太平洋側では福島県以北、日本海側では山形県以北に分布し、潮間帯から水深50mまでの岩礁域に生息する。アリストートル氏提灯と呼ばれる器官で岩に生えた藻や昆布などを削り取って食べる。寿命は10年ほど。雌雄異体。産卵期は7月から10月頃。孵化するとプリズム幼生、エキノプルテウス幼生期を経て、稚ウニになる。

食材情報

国産のウニの中で最も水揚げが多いのがエゾバフンウニ。可食部の精巣の色が鮮やかなオレンジ色で、キタムラサキウニなどが「白ウニ」と呼ばれるのに対して「赤ウニ」と呼ばれる。旨みが濃厚で甘く、後味が強い。キタムラサキウニが江戸前の寿司屋で人気であるのに対して、エゾバフンウニはイタリア料理やフランス料理店でよく利用される。関西地方ではエゾバフンウニなどの赤ウニがポピュラーである。国内で流通しているエゾバフンウニのほとんどが北海道産。

殻から取り出して木箱に入った状態で流通することが多く、活け(イガウニ)は少ない。これは殻から取り出してみないとウニの品質がわからないためである。加工場でむき、箱詰めする際に選別することで、品質の揃った商品になる。同じ産地のウニでも、雌雄や成長年齢、漁獲時期などによって味が大きく変わってくるため、品質の揃ったウニ箱を出荷できるかどうかは、仕入れや目利きに左右される。木箱に入ったウニは、身が溶けるのを防ぎ、発色を良くするためにミョウバンが使われることが多いが、苦みの原因になる。ミョウバン不使用の生ウニは柔らかく、透き通る甘みと旨みがあり、高額で取引される。粒が揃っているもの、色が揃っているものは高価。

生食するほか、焼きウニ、蒸しウニも美味。また酒肴として人気が高い塩ウニは、ウニの生殖巣を塩漬けにしたものである。アルコールを使っているため、作ってから時間が経ったものの方が熟成して味わいがまろやかになる。山陰から九州では瓶詰めにしたものが売られている。

殻をむいたウニの場合、可食部(生食巣)が溶けかかっていたり、茶色く変色しているものは鮮度が悪い。食べる餌によってウニの味も変わってくるため、利尻や羅臼昆布を食べて育ったエゾバフンウニの味は絶品といわれる。

漁獲法

海女などが海底に潜って獲る潜水漁、船の上から手網やヤスで獲る「ノゾキ」と呼ばれる漁法、ウニ桁網漁などで漁獲される。地域ごとに漁期が定められている。北海道では、渡島が12月~9月、石狩・後志5月~8月、宗谷4月~9月、根室12月~6月に漁期を迎える。生殖巣の成熟期から産卵期となる夏から冬にかけては保護のため禁漁となり、具体的な禁漁期は漁協によって異なる。