ホンウニ目オオバフンウニ科
北紫海胆、Northern sea urchin
生息域:太平洋側は相模湾以北、日本海側は本州西端以北
旬時期:6月~8月
調理法:生ウニ、焼ウニ、蒸しウニ、塩ウニ、寿司

キタムラサキウニ

基本情報

寿司種として人気が高いウニ。風味良く口の中でとろけるような味わいが魅力。世界で800種以上、日本で100を超えるウニが生息するが、築地市場に入荷し、東京で賞味されるウニは主にエゾバフンウニ、キタムラサキウニの二種類。可食部の精巣の色が鮮やかで「赤ウニ」と呼ばれるエゾバフンウニなどに対して、キタムラサキウニは「白ウニ」と呼ばれ、あっさりした上品な甘みが魅力。

名前の由来

紫色のウニで北方系のものを指す。北海道室蘭などではノナの別名を持つ。またむいた身が黄色く、バフンウニのオレンジ色と比べて色が淡いことから「シロ(白)」とも呼ばれる。

特徴

殻直径10cm前後になる。バフンウニと比べて棘が長く、棘の表面に光沢がなく、ザラザラしている。可食部となる生殖巣は明るい黄色で、バフンウニなどが赤と呼ばれるのに対して、白と呼ばれる。下面は平たく、囲口部に向かってやや窪んでいる。太平洋側では北海道・襟裳岬から相模湾まで、北海道日本海沿岸から対馬沿岸に分布し、潮間帯から水深180mまでの岩礁域に生息する。コンブなどの大型海藻類や岩上の藻などを削り取って食べる。寿命は12年ほど。漁獲できるサイズ(殻径5cm程度)になるには3~4年ほどかかる。生殖巣は夏に最も膨らみ、旬を迎える。秋に産卵する。

食材情報

エゾバフンウニなどに代表される「赤ウニ」が濃厚な味わいを持つのに対して、キタムラサキウニに代表される「白ウニ」は、あっさりした上品な甘みが特長。粒が比較的大きく、身質がしっかりして身崩れしにくく、ボリューム感があり、エゾバフンウニより一般的に安価。東京の寿司屋に人気が高い。食べ方は生で食べるのが一番。生後4~5年程度のウニが最も美味とされ、味が濃厚で甘みが強い。抱卵と共に粒が大きく成長していくが、抱卵前の方が甘みが強く美味。老化が進むと、殻が大きくなる割に可食部(生食巣)の割合が小さくなり、色も黒っぽくなり、甘みも落ちる。

殻から取り出して木箱に入った状態で流通することが多く、活け(イガウニ)は少ない。これは殻から取り出してみないとウニの品質がわからないためである。加工場でむき、箱詰めする際に選別することで、品質の揃った商品になる。同じ産地のウニでも、雌雄や成長年齢、漁獲時期などによって味が大きく変わってくるため、品質の揃ったウニ箱を出荷できるかどうかは、仕入れや目利きに左右される。

木箱に入ったウニは、身が溶けるのを防ぎ、発色を良くするためにミョウバンが使われることが多いが、苦みの原因になる。ミョウバン不使用の生ウニは柔らかく、透き通る甘みと旨みがあり、高額で取引される。殻をむいたウニの場合、可食部(生食巣)が溶けかかっていたり、茶色く変色しているものは鮮度が悪い。

近年では日本近海でコンブの漁獲量が減少しており、コンブを主食とするウニの生態系に影響して、ウニの漁獲量減少、味の劣化を招いている。

漁獲法

海女などが海底に潜って獲る潜水漁、船の上から手網やヤスで獲る「ノゾキ」と呼ばれる漁法、ウニ桁網漁などで漁獲される。地域ごとに漁期が定められている。