ホタテガイ

カキ目イタヤガイ科
帆立貝、Scallop
生息域:東北以北~オホーツク海
旬時期:冬
調理法:刺身、焼く、グラタン、フライ

ホタテガイ

基本情報

貝柱の新鮮なものは刺身にして良く、肉厚でとろりと甘く、舌触りと風味が魅力。旨味成分であるアミノ酸、グルタミン酸、コハク酸やタウリンなどが豊富に含まれている美味な貝。殻つきでグリルしても旨く、またフライやシチュー、バター焼き、スープやXO醤油の材料と、幅広く和洋中華の料理に使われている。

名前の由来

「和漢三才会」(1716年)に「口を開きて一の殻は舟のごとく、一の殻は帆のごとくにし、風にのって走る。故に帆立蛤と名づく」という記載がある。一方の殻を舟にし、もう一方を帆のように立てて走るとされたことに由来する。アキタガイの別名を持つが、これは窪田藩(秋田藩)佐竹氏の家紋に似ていたためとされる。殻の形を扇が開いた様子に見立てた「海扇」という雅称もある。

特徴

殻長20センチ前後。右殻はふくらみが強く色が淡く、左殻はふくらみが弱く紫褐色。殻表には20本強の放射状肋があり、殻頂前後に耳状部がある。殻の中央には大きな閉殻筋(貝柱)があり、海水を強く噴き出して、その勢いで海中を泳ぐ。外套膜(ヒモ)の周囲には、約80個の小さな眼点があり、この部分で明るさを感じる。日本海側は能登半島、太平洋側は東京湾以北に分布する。水深10~30mの砂底地に生息する。産卵期は3~6月。孵化後、約35日間前後のプランクトン生活を経て、殻長0.3mm程度で海底やロープなどに足糸で付着する。2~3か月経つと、足糸を切って海底生活を始め、1年で殻長3cm、2年で8cm、3年で10〜12cm、4年で12〜15c程度に成長する。寿命は約10年。天敵はヒトデ、オオカミウオ、ミズダコなどである。

食材情報

活けのものの貝柱は刺身にして美味。肉厚でとろりと甘く、舌触りと風味が良い。殻つきのものをそのままグリルしても美味。旨味成分であるアミノ酸、グルタミン酸、コハク酸やタウリンなどが豊富に含まれており、独特の甘味はグリコーゲンによる。黒緑色のウロの部分を除き、ほとんどが可食部位となる。ウロ(中腸腺)は食べても美味しくない上、貝毒や重金属が集中するため、調理の際には取り除いて食べる。フライやバター焼き、グラタン、煮込みなど様々な料理で使用される。貝柱を干したもの(干し貝柱)は、中華料理の材料として重要である。ヒモと呼ばれる外套膜も生食されるほか、燻製や塩辛などにして食べられている。乾紐を戻して野菜などと煮つけたものは東京都多摩地区の郷土料理。貝殻は調理器具や食器がわりに使われ、東北地方などで食べられる貝焼き、秋田県のしょっつる鍋、フランス料理のコキーユ(グラタン)などが有名である。かつては高級な貝だったが、養殖が盛んに行われるようになり、価格は安定して年中出回るようになった。養殖ものと天然もので大きな味の違いはないとされる。

活けの状態のほか、冷凍貝柱、ボイルホタテ、干し貝柱に加工されて流通することが多い。日本料理のほか、フランス料理や中華料理の食材として日本国内で消費されるだけでなく、日本国外にも盛んに輸出される。

・冷凍貝柱
生の貝柱をトンネルフリーザーを用いて急速冷凍する。解凍したものは刺身に供することも可能。

・ボイルホタテ
ボイルしたものが冷凍形態で流通している。シチューの具などに用いられる。

・干し貝柱
貝柱のみを乾燥して製造する。貝柱は水分が8割近くを占めるため、干すと収縮する。中華料理ではこれを戻して上湯(スープ)の出汁に用いるほか、XO醤の材料としても使用される。半乾燥で流通するソフト貝柱もある。

貝柱は飴色で透明感があり、身肉がこんもりと引き締まったものが良い。殻に触るとサッと閉じるものは新鮮。

高たんぱく質・低脂肪で、旨味成分となるアミノ酸、グルタミン酸、コハク酸やタウリンなどが豊富に含有する。ビタミンB2、ビタミンE、鉄や亜鉛、カリウムなども豊富である。

市場での評価

活けもの(養殖もの、天然もの)、加工品などが常時流通しており、入荷量も多い。値段は比較的安めに安定している。稚貝の入荷も見られ、「ベビーホタテ」と呼ばれる。

漁獲法

天然ものは、けた網漁法で漁獲されるが、水揚げ量は年々減少している。1970年代に養殖法が確立し、1959年には約2万トンであった生産量が50万トンに増加した。現在流通しているものの多くは、地撒き放流か養殖ものである。地撒き放流は北海道オホーツク海沿岸に多い。採苗器で採集した稚貝を育成してから放流し、3~4年でけた網漁法で漁獲する。多くの場合、これは天然ものとして販売される。養殖法は二通りの垂下式が用いられている。稚貝を籠に入れていかだから海中に垂下する方法と、耳つり方式といって、籠やネットで中間育成した後、殻の耳状部に穴を開けて糸を通し垂下する方法である。垂下式養殖は、北海道や東北産陸部で盛んに行われている。天然もの、地撒き放流されたものは貝殻が白い。味は天然ものと養殖もので大きな違いはないとされている。